After being acquired, the cash flows from the acquired companies are pooled together and reinvested into further acquisitions. This creates a cycle of compounding growth, with the usual ultimate goal of generating attractive returns for shareholders. The value creation the serial acquirer hopes to achieve can be described as 1+1+1+1=5.
Philip Svensson氏のOur List of 100 Eminent Serial Acquirersより
毎日暑いです。
ムスコ(7)が少年野球のチームに入り、毎週日曜に練習に参加しています。私もその練習の手伝い(といってもキャッチボールの相手とか、外野を抜けて転々と転がるボールを拾ったりだとか)をしていて、しっかり消耗して月曜を迎えています。
しかし練習後に飲むビールもしくはサワーが、とてつもなくうまいのも事実です。
というわけで暑さと酔いの勢いが余って、パンチカードをひとつ押してしまいました。
株式会社JRC (6224)
(株)SHOEI (7839)
6224(以下、同社)は2023年に東証グロース市場に上場した、屋外用ベルトコンベヤ部品の販売・保守メンテで国内トップシェアを誇るメーカーです。
獲得の資金捻出のため7839を一部売却し、US$MMFも一部解約しています。
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【同社を知ったきっかけ】
スパークス・プレミアム・日本超小型株式ファンド(価値発掘)の2025年7月の運用コメント。8月12日に知るところとなり、27日に獲得。獲得時のPERは、だいたい18。
【同社を獲得した理由】
- Recurring(安定)
- 退屈な業界での高いシェア (安定)
- B to B (安定)
- Serial Aquirer (Roll up) (上記の安定したビジネスをベースにした、計算されたリスクテイク)
1. Recurring
同社のコアであるコンベヤ部品事業は、継続的・安定的な収益が見込まれます。なにをかくそう私が最初に就職した会社はベルトコンベヤを扱うメーカーでした。最初の数か月は自社・協力工場の製造現場で、次の数か月は営業にくっついて回る研修を受けました。
そこでは同社のものと違い、屋内の、とくに食品メーカーで使用するワイヤーコンベヤーベルトを扱っていて、関西エリアのUHA味覚糖や湖池屋の工場(京都の山奥だった記憶)から名もなき豆腐屋の町工場の現場まで、先輩営業マンにくっついていっていましたね。
そのときの需要は、ほとんどが修理・メンテ・交換といったものでした。また営業マンとは名ばかりで、実際のところ先輩方は作業服と工具一式を抱えて現場に乗り込み、夜遅く、もしくは休日にラインが止まっている間に、ベルトの張替えやスプロケット等の交換をやっていました。製造現場におけるコンベヤーベルトは、文字通り大動脈です。ここが止まれば死活問題です。
いやはや、本州横断自転車の旅はやったもののパンク修理はお手上げ、みたいな私にとっては、目が点な世界でしたね。なので私は2年半の在籍(主に海外の顧客やサプライヤーとやり取りをするバックオフィス系の仕事やったけど)の後、さっさと転職しました。とてもじゃないがついていけなかったな。
それはともかく、常に稼働し続けるベルトコンベヤの特性上、交換や修理の需要が稼ぎ頭でした。屋内の食品用のベルトですら消耗度が高いので、同社が扱う屋外のベルトの部品の消耗はとても激しいことでしょう。
となると、一度顧客に食らいつけば、あとはキャッシュがチャリンチャリーンどころではない轟音を立てて継続的に産み出され続けます。
2.退屈な業界での高いシェア
同社のコンベヤ部品事業の国内シェアは約52%、1.3万社をこえるエンドユーザーがいます。これだけのシェアを獲得してきた理由として、その経験値を活かしたソリューション提案型の商品販売を行ってきたことが同社のホームページやスパークス・プレミアム・日本超小型株式ファンドの運用コメントで挙げられています。
点検・報告から製品納入、取り付け・設置、試運転調整までワンストップで対応できる体制を整えており、また図面がなくても対応ができる技術と知見を備えています。
私の研修での経験でも、「いったいどこに修理を頼んだらいいかわからんもんでね、図面もないし・・・おたく、なんとかしてくれません?」というお客さんがちょこちょこいらっしゃいました。先輩はノギスを取り出しピッチを測定し、ふんふんと頷きながら「ウチはこれと同じものを造れますよ、あとで見積もりをFaxします」とかなんとか言っていました。もちろんそういうお客様に対しては強気の価格設定です😁
話をもとに戻すと、日本国内の製造業、とくに同社が相手にしているエリア(製鉄、コークス、セメント、採石、アスファルト、土木、水処理、製紙等々)は、どちらかというと斜陽(失礼)です。ですので新規の競合が殺到し、シェアを奪われる可能性は少ないと思われます。
3.B to B
当然のことながら一般消費者が裏庭に屋外用ベルトコンベヤを設置していたりしません。なので同社はB to Bです。今回同社の株式を取得するにあたりSHOEI (7839)の株式を一部放出して資金をねん出した理由は、7839が製品の品質という一本足打法に頼った一般消費者向けビジネスであり、業績の安定性という意味で少しばかり懸念があったからになります。
ヘルメットの買い替えよりはコンベヤーのメンテのほうが切羽詰まっていますからね。ということで景気耐性が強いです。
4.Serial Aquirer (Roll up)
日本超小型株式ファンド(価値発掘)の2025年7月の運用コメントにもあるように、同社は最近積極的にロールアップM&Aを行っています。2024年の3月以降6件M&Aを完了していて、その結果、2026年度2月期の第1四半期の数字が、これまでと大きく異なり、まさしく牙をむき始めているように見受けられます。
すでにThe 3rd Man's Fundでは、ロールアップ(個人的にはローリンズ式と呼んでいる)で連続してM&Aを行っている企業の株式としては、Rollins, Inc. (ROL)、Pool Corporation(POOL)、Watsco, Inc.(WSO)を保有しており、それらの価値創造のパフォーマンスには満足しています。
The 3rd Man's Fundに同じようなことを行っている日本の企業の株式を加えたいと考えたのも、同社の株式獲得のきっかけになりました。
上述のコアの事業で安定したキャッシュが見込まれるので、M&Aは十分計算されたリスクの上で(つまりホンダと日産がやろうとした起死回生型ではないようなかたちで)行うことができると考えています。うまくいけばキャッシュ産出力が増大し、さらにそれを元手に・・・
この縮みゆく業界でまだまだ成長し、スケールを活かした事業を営むことができるのではないでしょうか。
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少し目線が変わりますが・・・
ロールアップ・連続M&Aをやっている企業すべてがいい結果に結びついていないことをしっかり認識したうえで、生き延びている企業の株式価格のインデックス(おそらく米国企業に限っていると思われるが、Serial acquire企業45社のequal weightedの株価指数)を見てみると、以下の通り高パフォーマンスとなっています👍
ソース『Serial Acquirers - Javier』 |
ちなみにどのような企業がSerial acquireとして認知されているかに関してはPhilip Svensson氏のOur List of 100 Eminent Serial Acquirersを覗いてみるのがよろしいかと思います。日本ではGENDAやSHIFTがリストアップされています。
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