2025年2月21日金曜日

スパイスのない人生なんて 10 - MKC-

Power over spice is power over all.

FY2025 第三四半期レポート -ステージ03/40-』で書いた通り、2025年1月に大幅にポジションを減らしたMcCormick & Company,Incorporated(MKC)ですが、The 3rd Man's  Fund最初の10年間のポートフォリオにおけるアイコニック的な存在でもありますし、今後もそれなりに期待はしているので、しっかり2024年度を振り返ってみます。



MKCWe flavor every sip and biteを標榜し、スパイス・フレーバー・シーズニング・食材量・簡易食品を提供する世界的企業です。

【存在を知ったキッカケ】

Dividend Championsのリスト農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶねの運用レポートではありません😀

ちなみに米国個別株式投資を始めたころはDividend Championsのリストが主なソースでした。昔は気軽にエクセルファイルをダウンロードできたのですが、いまはメールアドレスを入力して入手する形式になっているようです。もう私は連続増配には全然こだわっておらず、久しく利用していないですね。

【初回の獲得】

初回獲得は2015年1月

【参入障壁】

少し古いですが、農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶねの2019年9月の月次レポートによると、MKCの調味料(Consumer Segment)は、北米や主要欧州諸国において市場シェアが40~50%とのことです。口の中に入るものですし、特にスパイス(だけではないですが)は、一般的な消費者にとっては、ころころメーカーを変えるようなものではない、と思います。

B to BであるFlavor Segmentでは、食品・飲料メーカーが調味料のパートナーを変えることのスイッチングコストは、安定供給と味の保証という点で、とっても高くつきそうです。

【世の中に提供している価値は?】

ヒトにとって舌は永遠のモチベーションです。それは世界史を勉強すればわかります。英国が日の沈むことのない大帝国を築き上げられたのは、あの島国のメシがまずかったからだし、漢民族がその昔、圧倒的な技術や軍事力を誇りつつもCenter of the world(中国)と称して万里の長城の内側にこもっていたのも、かの国のメシがうまくて外に出ずとも事足りていたからです(独断と偏見)。

MKCはその人類のモチベーションに、信頼・安定という付加価値を加えて世界中に提供しています。

***

ただそのMKCが生み出す企業価値がいささかものたりない。






上記棒グラフは私の計算(なのであくまで参考値)によるROIC-WACC Spreadの履歴ですが『次の10年に向けての雑文(2) ー最大の失敗ー』で書いた通り一貫して物足りなく、とくにReckitt Benckiser's Food Division(
RB Foods)を買収して以降は低迷しています。企業価値の積み上がりが鈍い。

RB FoodsはFrank's RedHotを擁していたので、狙いは若い世代を中心とする辛い物志向+米国内で増加するラティーノだったかと思います。2024年度のアニュアルレポートにも、
Heat is not merely a trend; it is a sustainable flavor profile that is ubiquitous in food and beverage categories.
と書いているほどです。この場合Heatはレッド・ホット・チリペッパーズ的なもの(といってもロックバンドではない)を指しますね。

ただこの買収で図体がでかくなり、買収自体を効果的に生かせていない状態が続いています。

前CEOであったKurzius氏が、そのあまりにも退屈なビジネスに耐えかねて、ちょっと一仕事してしまったきらいがあります😆

2024年度は:

Net Salesは0.9%増、過去10年間のCAGRは4.6%(マイナス成長1回)
Operating Incomeは10.15%増、過去10年間のCAGRは6.8%(マイナス成長2回)
Operating Marginは15.8%、過去10年間の平均は15.4%
ROCE(私の計算)は10.9%、過去10年間のMedianは11.0%

Consumer Segmentではボリューム増で1%アップ、Flavor SegmentではPricingで1%アップです。

MKCの目標として、長期的にNet Salesは4~6%、Operating incomeは7~9%の成長を掲げていて、これらはおおむね達成中なので、そこは評価できます。

一株当たりのフリーキャッシュフローの推移。


21-22年度はインフレに対応できなかったけれど、すこし改善しつつあります。ただCAGRでみると2.9%で、これはまったく物足りない。それともほかの食品関連メーカーも似たようなものなのだろうか。

ただ今年のアニュアルレポートには、前CEOのKurzius氏をはじめ、複数のBoad of Directorsのメンバーがリタイアしていくとあります。現CEOのFoley氏のもと、組織が新たな方向に向かっていけば、と願います。

情報開示:この記事を書いている時点でMKC200株保有

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Appendix








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