あらゆる表現者がおそらくそうであるように、僕も「オリジナルな表現者」でありたいと願っています。
村上春樹 『職業としての小説家』 新潮文庫
現在私は4つのアクティブ投信を保有しています。毎月積み立て中なのは農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね、スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)、それからコモンズ30ファンドです。また積み立てはしていないものの、ひふみ投信もがっちりホールドしています。
積み立てているアクティブ投信の特徴は、私の好みをもろに反映しています。いずれも投資先を厳選して絞り(up to 約30企業)、ポートフォリオの回転率は低く、運用レポートが充実しています。
投資先が30企業程度までなので、各々の投資先に関する分析や考察が必然的に詳しくなりますし、受益者である私も運用レポートを通じて各社の知識やプロの投資家のスキルを肌感覚で感じることができます。
やはりプロの方々のアドバンテージと言えば、国境を越えて投資先の経営者やIR担当の方々に会ったり、工場等の施設を目の当たりにできたり、マーケットそのものに足を運んだりすることだと思います。なにせ昨今の為替事情や諸外国のインフレ状況を鑑みると、日本の個人投資家にとっては、たんに米国のショッピングモールに行くということだけでもハードルが高いので、会社から経費+出張手当付き(?)で国境を超えることができるプロの方々は、とってもうらやましい限りです。
そして例えば農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶねの月次の運用レポートでは、それらの貴重かつ新鮮な情報を、プロならではの考察というスパイスを効かせて報告してくれるので、いや、もう、グルメでいうなら銀座の一流料理屋さん並みの価値を提供してくれているようなものです。
私自身も投資信託とは別に個別株式の投資をやっているのですが、これらの投資信託の運用レポートは大いに参考にさせてもらっています。
直接的に受けた影響として例を挙げると、現在個別株式でも保有しているゾエティス(ZTS)は、『農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンドの運用報告会』で書いた通り、記念すべき農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンドの第一回運用報告会(『おおぶね』を名乗り始める以前だったと思う)でその存在を知った企業になります。人類にとってのペット(コンパニオン・アニマル)の重要性に関しては認識していたものの、ペットフード業界の競争の激しさに、うーん、と頭をひねっていた私は(一時期ゼネラルミルズやJMスマッカーを保有していましたなあ)、そうか、こういう企業(サービス)があるのか!と興奮したことをよく覚えています。
なかなかZTSみたいな企業、一介の日本の個人投資家が見つけ出すのは難しいですよね。
また最近では、これも農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンドの例になるのですが、クロロックス(CLX)に関する考察(2022年8月のレポート)が非常に興味深かったです。なーるほど、堀(MOAT)が埋められてしまう、もしくは堀自体の水が溢れだしてしまう事象にこういうことがあるのか、ってのは、少なくとも私にとってはとっても刺激的かつ教訓的な学びでありました。
余談ですが私がCLXを手放したのは、上記のレポートを読んだことに加え、最近CEOが変わったからだと思うのですが、同社のアニュアルレポートが必要以上にファンシーなものになってしまったことに違和感を感じたこともあります。
Anyhow、なんだかNVICさん礼賛みたいになってしまいましたが、スパークスさんにせよ、コモンズさんにせよ、提供していただいている(私が苦手な)日本の大型株式に関するレポートや分析はとても興味深いところですし、そもそも投資したくても個人的にハードルが高い値がさ株式(ダイキンとか)を投資信託という形式経由で投資できるのは、とてもありがたいことです。
いやあ、アクティブ投信って、ほんと、いいですよね。では、ごきげんよう、さいなら、さいなら、さいなら。
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と、水曜ロードショー的に平和裏に終らないところが、狭い心を持つ私の私たるゆえんです。
まあ、なんといいますか、気に食わないことも多々あるんですわな、これが。
なにが気に食わないって、有名どころのアクティブ投信のポートフォリオに、せっかく私が見つけてきた企業の株式が組み込まれていることほど、腹が立つことはありません。
これは、個別の株式投資と投資信託を通しての投資がダブってしまい、図らずもある企業に過剰なウェイトを置いてしまっているから困る、というマトモな理由ではありません。
私には、せっかく個別株式の投資もやっているので、そのポートフォリオの構成はオリジナルなものでありたい、という強い願望があります。
だってそうじゃないですか。そうじゃなければ、それこそNYダウやナスダック指数に連動するインデックスに投資しとけばいいではないですか。
個別株式をするにあたり一番耐え難いものは何かと言われると、それは期待した通りのリターンが得られていないとか、指数に劣後しているとかなどでは決してありません。
たとえそれがプロであれ素人であれ、他の人の真似をしていると思われることが、一番堪えがたいのであります。
なので、例えば、農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶねの組み入れ上位企業にマコーミック(MKC)があったりすると、私としては憤慨するしかないのであります。こう大声で世間に向かって叫びたい気分になります。
私は『おおぶね』の存在を知る前からMKCに投資しているんだああああああああ! 決してマネしたんじゃないんだぞおおお!
いえ、もちろん、農林中金バリューインベストメンツによるMKCに関するレポートを読むと、おお!そうなのか!と素直に感嘆するのですが、それはそれ。私は農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶねが一般的になる以前からMKCに投資していたのである!
さらには、一般的な投資信託ではないのだが、柳下佑紀氏が率いておられる『Aurea Lotus』なんて、とても厄介な存在です。
上位組み入れ株式に、トラクター・サプライ(TSCO)、ホーム・ディーポ(HD)、KeePer技研(6036)が名を連ねていたりしますからね。おまけにザ・プール・コーポレーション(POOL)に関する講義とかを柳下氏が開催されていらっしゃって、私はいそいそと参加しましたがな、これが。
とっても勉強になりました(ちなみにZTSのも参加した)。
んなこたあ、どうでもいい。私はZTSを除くと、これらの企業は自分で有望な投資先として見つけてきて、独自で判断を下し、投資したのです。決して、有名どころの投資信託の組み入れ企業一覧を見て投資したのではない!
私が個別株式投資をやるにあたり、一番重視しているのは、その投資先の参入障壁や経営効率などではなく、ポートフォリオの独自性(オリジナリティ)なのである。
なので、そのオリジナリティが棄損されてしまうことが一番イヤなのであり、例えばNVICやAurea Lotusの上位組み入れ企業に私の投資先が名を連ねられると、どうしたって私がマネをしたと思われてしまうと思う(被害妄想?)ので、それがもう耐え難い。
そういった意味ではNVICにせよ、Aurea Lotusにせよ、その他の投資信託、著名投資家(バークシャーがフロア&デコア(FND)に投資しているのがわかるより先に私は投資開始したんだよ)でもそうですが、私の投資先とダブっていないでほしいと、戦々恐々としてレポートを見ることになってしまっています。客観的にみれば、投資先がダブるということは心強いことではあるのですが。
んなわけで、直近で投資を開始したアメルコ(UHAL)は、そのあたりに十分すぎるほど気を配りました。いやあ、我ながらエネルギー使うところを間違えていますわな。と思ったら、こらあ、ドナルド(*)! なにしとんねん! いや、あっちの方が先に投資していたらしいけど。
てなわけで、最近の一部のアクティブ投信の有意義なレポート、それはとても参考になるのですが、ある意味厄介な存在だったりもします、私にとっては。
私は偏屈おじさんなのだろうか・・・
...and I am getting old...
【情報開示】この記事を書いている時点で保有している株式で、他人の真似をして投資を開始したのは、ZTS(NVIC)、6326(NVIC)、3835(ろくすけさん)になります。
(*)著名バリュー投資家のドナルド・ヤックマン、ヤックマン・アセット・マネジメントの創業者。
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