自分が知っているものを買う - これは多くのプロが実践を怠っている、非常に高度な戦略だ。
ピーター・リンチ 『ピーター・リンチの株の法則』 平野誠一・訳 ダイヤモンド社
夏が過ぎ去っていきました。
仕事がずっと忙しく、土日祝日の仕事は当たり前、睡眠時間は4-5時間、昼食抜きがdefault、オフィスで徹夜、なんて日々がかれこれ4か月程度続いています。週末はそれでもワイルドワイフにせっつかれて、レンタカーにキャンプ用品をどっさり詰め込んで山や川へ出かけていましたが、基本的に今年の夏は暑さを感じないくらい仕事に追い詰められていました。
現時点で状況は少しずつ改善の方向に向かっています。遅ればせながら何故このような状況に陥ってしまったかを振り返っていますが、ものの見事なまでに私および私が属する組織は『失敗の本質』(中公文庫)や『認知バイアス』(鈴木宏昭・著、講談社)に書かれてある典型的な失敗パターンをなぞっていました。都合の良い解釈による初動の遅れ、逐次的な対応、他部門との情報や構想の共有欠如etc...
本だけ読んで知識を仕入れていても、それを日々の業務や生活に生かすのはとても困難なことです。そのことをまざまざと見せつけられた今夏ではあるのですが、それでもいい経験をさせてもらったと後々言えるようにしたいところです。
深まっていく秋とともに、考えも深めていくしかありません。
そのような状況だったため、ブログの更新もすっかり滞ってしまっています。それよりも何よりも、投資先の企業の年次報告書に目を通す時間(私にとっては楽しみなのです)が思うようにとれないのは、やはり非常によくないです。
6月末の時点では、The 3rd Man's Fundと『いざ・波』を合わせて25社の株式を保有していました。さすがにこれは、仕事が多能になった折には個人がフォローするには負担が多すぎる数です。
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いっぽうで忙しくて抱え込んだストレスを解消するために、私は積極的に株式投資に関する書籍を本棚から引っ張り出して読みだしました。『バフェットからの手紙』、『ティリングハストの株式投資の原則』、『真のバリュー投資のための企業価値分析』等々。いやはや、世の中にはストレスの捌け口として投資の本を手に取る人間がいるものなんです。まったく、そのようなことをするんだったら、それこそもっと投資先の一次資料(有価証券報告書とか)を読んだ方がいいのはわかっているんですが、それはそれ。
こともあろうに、仕事のやり過ぎと本の読みすぎで体を壊す一歩手前の状態のときに、いきなり玄関先に『投資の思考法』なる本も届いていたりして、いやはや、ありゃアル中の階段を転げ落ちている人間にスコッチのボトルが差し入れされたようなもんでしたな。
直近では『バフェット・クラブの金言』をいそいそと買ってきて、ページをめくっていたりしています。
これらの書籍の中でも、とりわけてティリングハスト氏の本は読みづらい(翻訳者のせいではないと思う)です。が、今回じっくり読んでいて気づいたのは、ティリングハスト氏の五つの基本理念は、見事にウォーレン・バフェット氏が株主への手紙に書かれている内容のツボを押さえているということです。
その五つの基本理念の二つ目は、理解をしているものに投資しなければならない、となっています。これをティリングハスト氏の師でもあるピーター・リンチ氏は、
自分が知っているものを買う - これは多くのプロが実践を怠っている、非常に高度な戦略だ。
と述べていらっしゃいますね。このフィディリティの伝説的ファンドマネジャーである二人のちがいは、生真面目な皮肉屋か、ふざけた皮肉屋か、だけなのでは・・・と考えます。
それはさておき、肥大化した株式ポートフォリオと少なすぎる自由時間を抱え込んでしまった私は、リンチ氏の言うところの高度な戦略をとることにしました。あまり知らなくて、将来の収益が安定的に続くかどうか(あくまで私が)確信が持てない企業をばっさり手放すことにしたのです。
また、これまでThe 3rd Man's Fundと『いざ・波』をわけていましたが、この二つを統合することにしました。もう資産の管理もシンプルにしたいと考えたからです。
その結果、第三四半期末のポートフォリオは以下の通りになっています。
期間中放出された企業は以下の通り。
- ウォルマート(WMT): もっと特徴があり成長が見込まれるリテール(FND、HD、POOL…リテールとはちょっと違うが)に戦力集中のため。これらの企業がこれから生み出すバリューが、WMTのそれよりも大きいと判断したため。
- アイデックス・ラボラトリーズ(IDXX) : 単純にアニュアルレポートをフォローするのがしんどかったため、つまり私自身のエナジーのリソース確保のため。もったいないけど・・・
- ザ・トロ・カンパニー(TTC): 将来的にこの企業がどのような立ち位置になるのか(特徴を持つのか)、いまひとつぼやけていたため。20年後がわからない。
- 大阪有機化学(4187): 将来の安定的な収益・経済性がわからなかった。20年後どころか数年後どうなのかわからない。明らかにこれは私のCircle of Competence外の分野で輝いている会社。反省。
- アニコム(8725): どうしても有価証券報告書を長きにわたり読み続ける気がおきそうになかった。
『令和の改新、最終章 -作戦術の導入ー』で書いた3つの作戦の割合は以下の通りです。
クボタはもっと儲けてほしい。
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以前に勤めていた会社(連続増配のグローバル・ヘルスケア企業)のEmployee Stock Purchase Plan (ESPP)を通じて購入した株式があります。こちらはDripで自動的に再投資が行われるので、完全放置状態です。
2022年3rd QはDripにより4.16株増加しています。
企業型確定拠出年金では、楽天・全米株式インデックスを、一度も積み立てをSkipすることがなく無事終了しました。まだクビにはなっていないぜ、ふう、やれやれ。
2022年3rd QはDripにより4.16株増加しています。
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ムスメとムスコの教育資金のための作戦『汝の父を敬え』。
1st Front (つみたてNISA)
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド
- ひふみプラス
2nd Front
- 農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶね
- スパークス・新・国際優良日本株ファンド
3rd Front
- ユニセフ・マンスリーサポート
- Table for Kidsのマンスリーサポート
なお、10月から1st Frontの積み立ては、ひふみプラスからコモンズ30に変更されます。
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ここのところのインフレと景気後退懸念、各国の中央銀行の利上げ等々で米国をはじめとする株価指数は下落傾向です。そうなってくると、マスコミにも煽ってくる記事が増えてくることでしょう。
先の金融危機の際も、週刊誌のヘッドラインに「米国の資本主義は死んだ」「終わりの始まり」みたいな見出しが並んでいたことをよく覚えています。
これから似たような見出しを見ることが増えてきそうですね。
ただウォーレン・バフェット氏が、かつて以下のような発言をしていることを覚えておくと、もしかしたら何かの足しになるかもしれません。
アメリカにある素晴らしく生産的な資産や人間の無限の創意工夫がすべて破壊されてしまうようなことが起こると、本気で思っている人などいるのでしょうか。
ローレンス・A・カニンガム『バフェットからの手紙 第5版』 Pan Rolling
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