2019年9月27日金曜日

令和の改新 その5 - 三つの巨鯨 -

「ビジネスのファンダメンタルズも、経営陣も、政府の規制も気まぐれにころころ変わるから、株価が変動し、その変動が投資家の気分に影響を与える。自然科学にみられるような普遍的な法則は投資の世界に存在しない。そうであるなら、投資家が許容できて、自分の行動に取り込むことができる、しっかりとした論理と投資の考え方を確立するための基礎となるようなプロセスをつくろうって話だよ」
ウィリアム・ブラウン(トゥイーディー、ブラウン・カンパニー・LLCのマネージング・ディレクター兼ポートフォリオマネージャー)の言葉。
Ronald W.Chan 『価値の探究者たち』山本御稔/小林真知子・訳 きんざい
株式への長期投資という選択 その6 -投資方針改定の補足-』で書いたように、最終的に投資先企業を選ぶ際には以下のトライアングルを念頭に置いています。





今回は、これのひとつ上のレベルでの投資対象企業の絞り込みの基礎となるプロセスを考えます。私は個別株式の長期Holdがメインの投資スタイルをとっているので、それが前提になります。

前回の記事『令和の改新 その4 - 巨鯨現る -』では、今後追うべき潮流として、米国での比較的お金を使う世代の人口動態を挙げています。これを投資対象の巨鯨1とします。

私はあと2つ追うべき対象があると考えます。

すでにこれまで当ブログで何回か言及してきましたが、巨鯨2として世界全体の人口増とそれに付随するミドルクラスの増加が挙げられます。人類の未来に素直に順張りですね。小難しいテクニックをひねくり回す必要はございません。あえて言うなら透明性・公平性・流動性がよいマーケットで扱われている株式を選ぶことが必要かな、くらいなものです。

3つ目の巨鯨は、われらが日本の人口動態、すなわち先進国の最先端を行く高齢化・多死社会ですね。これをもって、「だから日本は衰退するし、日本株式に投資するなんて愚の骨頂」なんて一刀両断するのは、まさしく愚の骨頂です。そりゃ、ハワード・マークスさん言うところの一次的思考(*ハワード・マークス 『投資で一番大切な20の教え』 貫井佳子・訳 日本経済新聞出版社ってやつですな。せっかく日本に住んでいて、肌感覚の情報をタイムリーに入手できるというのに。

ましてや指数の値札の推移だけで判断してはいけません。

日本の名目GDPは現在世界第3位です。『ポートフォリオの命名 -いざ・波ー』に書きましたが、その豊かな国に比較的考え方や行動がHomogeneousな高齢者の人口の塊がMassiveに登場するということは、新たなニーズを満たすための巨大なマーケットが誕生するということを意味しています。小説『白鯨』にもありましたが、ジャパン沿岸は格好の捕鯨漁場なのです。

というわけで戦略的に3つのOperationを発動します。

Operation Mars (闘) - 米国の人口動態とその購買行動に的を絞れ -

現時点での保有企業:AAN、AOS、CLX、FTDR、PETQ、QSR、ROL、TTC、WMT、MO(補欠)

Operation Jupiter(拡大と発展)- 世界的なミドルクラスの増加を追え -

現時点での保有企業:ABBV(近々トレードで放出予定・獲得企業を選考中)、ABT、EMR、IFF、JNJ、KO、MCD、MKC、PG、ZTS、アリアケジャパン

Operation Pluto(死と再生)- 列島社会と人々の意識の変化を見据えよ -

現時点での保有企業:鎌倉新書、アイアール・ジャパン、システムディ、弁護士ドットコム、リロ・グループ、日本SHL、ステップ

どうだい、我ながら、けっこう強そうだぜ。

最後に再度、ウィリアム・ブラウン氏の言葉。


ビジネスの質が良く、持続可能性が高いと考えられる企業であれば、その株がもたらす長期的なリターンはどんどん累積し、最終的に非常に大きなものになる。
Ronald W.Chan 『価値の探究者たち』山本御稔/小林真知子・訳 きんざい
ちなみに、なぜJupiterだのMarsだの思いついたかというと、あれこれ考えていた時に、たまたまホルストの組曲《惑星》のCDを聴いていたからです。やはり秋はクラシックですな。 

その後、本屋さんでパラパラっと大木毅氏の『独ソ戦』(岩波新書)をめくっていたら、ソ連軍も同じ作戦名を使用していたことを発見。この本、面白そうだ。今度読んでみよう。しかし大木氏のロンメル将軍についての本も読んでみたいな。どっちにしようか。

情報開示:これ以上とくになし

 いやあ、株式の長期Holdっていう投資は、ヒマなんですよ。ははは。

名著です。 ↓は、必読の書です。

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