2019年8月30日金曜日

夏休みの自由研究 -米国株価指数の対数グラフ-

対数グラフを使えば、たとえば1から10への10倍の変化と、100から1000への10倍の変化が同じ幅であらわされるため、絶対的な値の大きさに関係なく、相対的な変化が見えやすくなるのです。
Newton 2019年7月号
以前、もう2年位前かな、に当ブログで書きましたが、私はいわゆる「理系」の科目は苦手としてきました。とくに高校以降はそれが顕著です。


自身の知識を世界地図に例えると、理系分野は空白です。しかもそのエリアは広大で、世界の半分以上がシベリアの荒野みたいな感じになってしまっています。大航海時代以前の世界地図ですな。


これではいかんと思い、なるべく積極的に科学誌等を読むように心がけるようになりました。少しずつ時間をかけて自分自身の地図の空白エリアを狭めていくのは、けっこう快感なものです。



たっぷりと何かに時間をかけることは、ある意味ではいちばん洗練されたかたちでの復讐なんだ

とは、村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』の名台詞ですね。

てなわけで私も、復習するは我にあり、とばかりにせっせと勉強にいそしんでいます。あるていど人生経験を経たうえでお勉強の復習をすると、これはこれでけっこう面白いですよ。

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『ニュートン』誌の7月号の特集は「数に強くなる」だったので、本屋さんで見かけるや否や購入していました。で、ながらく放置していたのですが、いまさらながら子供を寝かしつけた後、毎晩15分くらい読んでいます。


それでその7月号に、『「対数グラフ」を使えば、“かくれた変化”がみえてくる』という記事の対数グラフの例としてNYダウの平均株価推移が載っていました。下の写真の上のグラフが通常のグラフ、下が片対数グラフです。ちなみに「片対数」ってカタタイスウと読むんですね。てっきりヘンタイスウだと思っていた。ま、オレに言わせれば、logなんて考えだした奴らは、じゅうぶん変態なのではあるが。



丸印は私が挿入。赤が世界大恐慌後、緑がサブプライム金融危機

こうしてみると、いやはや、世界大恐慌(1929年)のインパクトの大きさがわかりますね。1987年のブラックマンデーも100年に一度といわれた2008年のサブプライム金融危機時の暴落も、それに比べりゃかわいいもんです。大恐慌後、多くの米国人が長きにわたって株式投資を敬遠したのがわかります。


せっかく対数を勉強したので、復習しましょう。Yahoo Financeから無料で入手できる1950年以降のS&P500の履歴をもとに、エクセルで片対数グラフを作成してみました。


まずは通常のグラフ。





これを片対数グラフにすると、





こうしてみると通常のグラフを眺めるより、右肩上がりの力強いトレンドがよくわかりますね。


その時々の傾向も把握しやすいです。


日独に猛追されてアップアップだった70年代後半から80年代前半にかけては、明らかに低調ですし、ベビーブーマーたちが401Kに目覚め始めた80年代後半、とくに1987年のブラックマンデー以降は手堅く成長しています。


それが過熱した結果のITバブルとその後のサブプライムバブルは、矢印でさしているとおり、くっきりと全体のトレンドを打ち破る突出部(バルジ)が認識できます。


もう少し期間を絞り、1990年以降をみます。






どうでしょう、通常のグラフだと2013年以降の株価の上昇っぷりに高所恐怖症に襲われるかもしれませんが、片対数グラフで見ると、それは杞憂かもしれないと思えます。


個人的には前回の記事『令和の改新 その3 - 株式投資のメインストリーム -』で書いたように、今後の米国株価のトレンドは、少なくとも2030年過ぎまでは強いものと考えています。昨今はリセッション間近で株価調整も必至か!的な論調が出てきていますが、私の現在のスタンスは、ノイズに惑わされての機会損失のほうが怖い、というものです。


たんなる素人の戯言ではありますが。


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このニュートンの7月号は面白いですよ。他にも依存症のメカニズムや進化医学の記事がとても興味深かった。すでに本屋さんには10月号が並んでいて、特集は三角関数のようで・・・これも買おうかなあ。


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というわけで、風立ちぬ、もう太陽の季節も終わりにさしかかっています。焦っている学生さんも多いことでしょう。


皆さんは、この夏、やり残したことはありませんか? 私はブログの更新が計画から大幅に遅れちまっています。ああ、夏が行く・・・。


情報開示:とくになし

参考図書

 

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