結局、ある人間を観察し、その心の中を知ろうと思ったら、どんな風に沈黙しているか、あるいはどんなふうにしゃべるか、あるいはどんなふうに泣くか、あるいはどんなふうに高邁な理想に胸をおどらせているか、などということではなく、笑っているときのその人間に目を向けるのがいちばんである。よい笑い方をすれば - つまりよい人間である。
ドストエフスキー 『未成年 (下)』 工藤精一郎・訳 新潮文庫たとえばアナタが今、たまたま訪れている米国のとある都市の人気のない寂しい郊外で道に迷い、途方に暮れていたとします。
11月の夕暮れ時、どんどんあたりは薄暗くなっていき、身を切るような風がアナタを凍てつかせます。はやく暖かいホテルの部屋へ帰って、熱いシャワーでも浴びて疲れ切った体を癒したい・・・と心は急くのですが、さっぱり道がわかりません。
なにせ初めて訪れた異国の地です。おまけに言葉は不自由で、もう心細さと不安でいっぱいです。なんだか道幅はやけにだだっ広くて空虚だ。このまま日が暮れてしまったら・・・今のこの時期夜は氷点下だし、治安も日本と違ってそうとうおっかないし・・・
ふと見上げると、前方から大柄な男がのっしのっしと歩いてきます。よく見るとドナルド・トランプ氏ではありませんか。なんだか粗野で威圧感があるなあ・・・と恐る恐る様子をうかがっていると、今度は後方からコツコツというハイヒールの音が・・・
振り返ってみると、反対方向から一人の女性が足早に歩いてきます。ヒラリー・クリントン氏です。
アナタはチャンスだと思い、ありったけの勇気と乏しい語学力を総動員して、この二人のうちのいずれかの人物にホテルまでの帰り方を尋ねようと決心します。
さて、アナタはどちらの人物に話しかけますか?
私ならトランプ氏ですね、まず間違いなく。
なんだか口が悪そうで、外国人なんぞ相手にしなさそうだし、おっかない外見ではあるけど、いざ本当に困っている人を見かけるとけっこう親切に助けの手を指し伸ばしてくれそうな、根は気のいいおっさん的なものが感じられる・・・実際のところ、けっこうホテルまで道案内までしてくれそうである。
キミ、どっから来たの、へえー、日本、あんたんとこさ、やっぱ自分の身は自分で守らんとさ、オレたちに頼りっぱなしじゃいけねーよ・・・だろ? とかなんとか言いながら。
それに引きかえ一方のヒラリーさんは・・・エ、エクスキューズ・ミーとか声をかけても、チラリと一瞥をくれた後、無言でツカツカと過ぎ去っていきそうな感じがある。
いや、これはあくまで個人的な感想というか印象であって、実際のところヒラリーさんのほうがとっても親切に対応してくれるかもしれませんが。
Donald Trump / Gage Skidmore |
それになんだかんだ言っても、米国の人たちの比較的教養や収入のある方々も、ポリティカリー・コレクトで居つづけるのに結構疲れている人が多いのではないでしょうか。
あれをしてはダメ、これを言ってはダメ、こういう表現は差別だ、タバコは健康に悪い、ソーダなんてもってのほか、個別銘柄の株式投資なんてサルのやることだよ、投資はインデックス・ファンドでリバランスなのさ、きみ、ポートフォリオ理論を知らないの?
で、知識豊かでインテリでシンネリムッツリな・・・タバコは吸っていた(る?)らしい・・・オバマさんの政権が8年続いた後、それこそポリティカリー・コレクトネスの権化のようなクリントン氏にどうしても投票する意欲がわかない・・・というのもよくわかるような気がする。
以上、私なりの今回の大統領選の考察です。
☆☆☆
てなわけで、米国人の自我、じゃなかった地がでた今回の選挙。そう、サラダに鳥の胸肉にカクテルにマインドフルネスじゃない、あんまりメディアが注目しない、ある意味だっさい人々(悪く言っているつもりなし)がいかに多いかがよくわかりましたね。
で、トランプ氏の政策方針を反映してか、キャタピラー(CAT)やドーバー(DOV)、エマーソン・エレクトリック(EMR)等のマシーンズの株価が上がる一方、生活必需品とかの銘柄は「必需たちの沈黙」モードになりつつあります。
いいですね。
というわけで、そんなだっさい人々に、クセのあるソーダを提供するアメリカン・ガラパゴス銘柄、ドクターペッパー・スナップル・グループ(DPS)を、少額ながら追加獲得しました。
Q3の結果は以下の通りです。YTDで昨年対比。
Reported EPS: 21%Up
Net Sales: 3%Up
EPSのGuidanceを$4.20-$4.30 から$4.32-$4.40へ
Good!
悪くないじゃありませんか。それに最近ではBaiブランドを買収するとのうわさもあります。Good!!。
トランプ氏の大統領就任に嫌気がさし、荒野へ放浪の旅に出たくなったダサくない人々には、ちゃーんとスナップルが用意されています。(参考映画『私にあうまでの1600キロ』、荒野を歩いてきた主人公がまっさきに買い求める飲み物)。Good!!!
それになんといってもトランプ氏は歴代の米国大統領のなかでも、ジョージ・ブッシュ氏(シニア)に次いでルートビールが似合いそうな人物である。Great!!!
というわけで、大統領選記念でDPSを追加で獲得したのでした。いやはや、われながらだっさいエントリーだな、これ。
えっ、投資方針の10年連続増配の条件を満たしていないって?
そんなポリティカリーコレクトなこと言ってないでさあ…
情報開示:この記事を書いている時点でDPS109株、EMR55株保有。
映画『私にあうまでの1600キロ』は、とても素晴らしい作品です。20代後半に観てたら、ヤバいほどはまっていたことでしょう。
このブログのDPSのその他の記事はこちら。
こんにちは。
返信削除DPSの追加についてですが、アメリカでは炭酸税導入が増えそうで、仮に将来に全米的に炭酸税導入の流れへ進んだ場合、DPSにとっては売上の大幅減少とか、心配ではないですか?
炭酸税導入したバークレーでは1年間で20%以上も炭酸飲料の消費が減ったそうです。
もしタバコのように値上げで挽回できればいいですが、飲料ではそういうわけもいかないので、ただ売上減を受け止めるしかないのでしょうか?
お考えをお聞きしたいです。
とくめいせんたいさん、こんにちは。
削除さあ、どうなるでしょうね。個人的にはこの手のことを心配しだすと、持っているトランプカードを全て放り出してテーブルを離れるしかないので、なるべく先のことは経営陣に任せて、私は実績だけを見つめるように心がけています。2014年3月に獲得した時も、ソーダはもうじり貧だ、という意見のほうが多かったと記憶してますしね。