2016年5月24日火曜日

えーと、これはいささか・・・先の展開がおかしい

僕は綿谷ノボルを野球のバットで殴ってはいない。僕はそんなことをする人間じゃないし、だいいちもうバットだって持ってないのだ。でも彼らは僕の言うことを信じないだろう。彼らはテレビの言うことをそのまま信じているのだ
村上春樹 『ねじまき鳥クロニクル 第3部 鳥刺し男編』 新潮文庫
まず最初にお断りしていますが、私は1,000人の方がいらっしゃれば、1,000通りの、いやひょっとしたら3,000通りくらいの最適な投資のやり方があると思っており、その人が自身に適していると思ってやられているのであれば、どのような方法であれ、一切ケチをつけるつもりはありません。

これはもう、趣味や生き方そのものの選択と同じであると考えています。

で、私は、自身の投資の参考にするために、いろいろな投資方法に関する書籍やブログを参考にしています。

そのうちの一つに、インデックス投資についてブログを書かれている、水瀬ケンイチさんによる『梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー』があります。

私は2007年あたりからリスク資産への投資を開始していますが、そのときの方法は、自社株式と国内・外の株式指数に連動するインデックス投信の積み立てでした。これは水瀬さんのブログから大きく影響を受けています。

現在も定期的に『梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー』の記事は読んでいて、投資(および出張の際の持っていくものとかも・・・)の参考にさせていただいているのですが、最近の記事『日経記事「投信『毎月分配』曲がり角」の先の展開がおかしい』で、これはちょっとあんまりよくないのでは・・・と違和感を抱く動きがありました。

その記事で水瀬さんは、2016/5/23の日本経済新聞の朝刊に載っている川上穣(おお‼、あの名著『リスク・テイカーズ』の作者かな?)氏・井川遼氏による『投信「毎月分配」曲がり角』という新聞記事を取り上げています。

ただ、この水瀬さんによる記事がどうにもこうにも腑に落ちないのです。展開がおかしいとしか思えない。詳しくは水瀬さんのブログの記事を読んでいただきたいのですが、どうやら水瀬さんは、

日本経済新聞が、個人資産の長期運用するにあたって、ラップ口座を柱に位置付けようと主張している。そんな手数料の高いものが個人の長期投資の柱にふさわしいとの誤解を招きかねないような記事を書くとはなにごとだ、けしからん! 個人投資家の皆様におかれては、ダマされないように気を付けられたし!

ということを主張されているように見受けられます。

一読して私は、

ホントーに日本経済新聞が読者に対し、ある特定の資産運用や投資の方法が長期投資の王道であるみたいな記事を書くのかなあ?

と疑問に思いました。

たまたま私は最近日本経済新聞を読んでいるので、資源ごみに出すために縛っていた紐をほどいて、当該記事を読んでみました。23日朝の時点ではまったく興味がなかったので読むのをすっ飛ばしていたのです。

で、この新聞記事は、

  • 「毎月分配型」の投信の運用難が、世界的な点金利を受けて、深刻になりつつある。
  • 「毎月分配型」の投信のシェアは低下しつつある
  • かかる状況下で、証券・運用業界は、長期の資産形成につながる投信への切り替えを促している
  • 証券各社は「ラップ口座」を長期運用の柱に位置付け、営業に懸命である
  • また業界ではETF に期待する声もある

という証券・運用業界の実情を客観的にレポートしたものです。ラップ口座の営業に力を入れ始めた証券会社の状況とその背景を記事にしたものであって、決して新聞記者が、

個人投資家の長期運用には、ラップ口座が適しているのですぞ‼

と論じたものではありません。また新聞記事を読んでみた限り、証券会社からの圧力がかかってたり、業界の意向を忖度した気配はなさそうです。たぶん。

この新聞記事は、ラップ口座が個人の長期運用に向いているか否かはさておいて、証券会社の動向をレポートしたものです。

そもそも新聞をはじめ各メディアは、社説や日曜版の資産運用方法を考えるみたいな読み物記事等を別にすると、なるべく事件や事象、情勢を客観的に事実を世に知らしめることに存在意義があるので、そう簡単に、例えばラップ口座は個人の長期投資に適している・いない等の結論がある記事がでると、いささかマズイです。そりゃ、もはや報道でも何でもない。

もし業界で、ラップ口座を柱に位置付ける動きがないのにこういう内容が書かれているようであれば、この新聞記事は非常にマズイことになりますが・・・

私が読んで判断する限り、この新聞記事はマズイものではありません。

おそらく水瀬さんは、インデックス投信を揃えるよりコストがかかってしまうラップ口座や毎月分配型が幅を利かせている現状を憂うあまり、新聞記事を早とちりしてしまったのではないでしょうか。

この新聞記事に書かれてある実情に基づき、証券会社の営業方針等に意見を述べるなら筋が通っているかと思いますが、記事そのものに論理の飛躍があるとか金融機関目線であるとかいうふうに批判しているのは筋が違っているように思えます。

私ごときがエラソーに言うのもなんですが、こういうことはよくあると思います。私もしょっちゅうやります。それにここが大事ですが、水瀬さんが悪意があってやっているようにも思えません。逆に個人が趣味でやっている無料のブログで、あの短時間であれだけうまくまとまった文章を書く筆力と瞬発力はすごいなあと素直に敬服します。

私はというと、「てにをは」ですら無茶苦茶で、過去の自分の書いたものを見てしょっちゅうアタマを抱えています始末です…

話がそれた。

私がこれはマズイんじゃないかと思うのは、この展開はオカシイなあと思うのは、この水瀬さんの記事を読んだ方々の反応です。ツイッター等でパパッと拡散(っていうのか?、恥ずかしいですがITリテラシーの低い私はツイッターをやったことがない)されていますが、なんというか、水瀬さんの書かれた記事のウラを取ろうとした形跡があんまりなく、気軽にそうだ、そうだ、日経新聞にだまされるな、リテラシーを身につけろ、的な反応がほとんどのようです。

やばいぜ、これ。

新聞記事や雑誌等の有料記事もそうかもしれないですけど、とくに無料の個人がやっているネットのブログ記事とかって、玉石混合です(私のブログなんて、小石で且つ形がいびつです)。素晴らしい情報や意見も多々ありますが、なかには、とんでもない勘違いやでたらめや風説の流布もあります。いや・・・これの逆で見ておいたほうがいい。

そのタダで気楽に手に入る情報を簡単に信用して、その述べるところの意見を鵜呑みにし、なんの確認もなく拡散されていく状況はイタい。歴史的に見て、タダしいことを言う人物が現れ、それに付和雷同する人々が多数を占める社会には、ろくな結果が待ち受けていない。

私が投資を始めて学んだことに、なるべく原典に当たり、自分でしっかり考えて、自分で判断をくだすというのがあります。なかなか実行は難しく、たいていの場合は判断を誤り、泣きながら自分のケツを拭く結果に終わってますけど。

ただ記憶している限り、ウォーレン・バフェット氏も、ピーター・リンチ氏も、それから川上穣・著の『リスク・テイカーズ』に出てくる空売り王ことジム・チェイノス氏も、原典に当たることの重要性を説いていたと思います。

今回の場合は原典が新聞記事なので、どれだけ恣意性がないかは微妙と言えるかもしれませんが、それは別としても、やはりちゃんと情報のウラをきっちり取りに行き、自分の頭で考えて消化する姿勢は重要ではないかと思います。

その姿勢を保つことを怠れば、どうなるでしょう?

きっと・・・いつか・・・新聞記事にダマされますぜ。

情報開示:特になし

ただ、オレ、ツイッターのアカウントすら持っていないんだよな。ひょっとしたら、ツイッター上でいろんな意見が交わされているのかもしれません。いや、その、ツイッターの仕組みすらわかっていないもので・・・。その場合は・・・平謝りです。

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