2016年4月1日金曜日

メタボリックな連続増配銘柄 - コカ・コーラ(KO)の2015年度 -

 翌日の朝、僕はその真新しいチクチクするTシャツを着てしばらく港の辺りをあてもなく散歩してから、目についた小さなレコード店のドアを開けた。店には客の姿はなく、店の女の子が一人でカウンターに座り、うんざりした顔で伝票をチェックしながら缶コーラを飲んでいるだけだった。
村上春樹 『風の歌を聴け』 講談社文庫
我らがThe 3rd Man's Fundの主力銘柄であるコカ・コーラ(KO)の2015年度の結果を、うんざりした顔で10-Kレポートをチェックしながら、缶コーラを飲んでみます。

まずはRevenueの推移。
数値のソースはモーニングスターのサイト
RevenueのFY15は前年度と比べると-4%。Volume自体は1%増で、PricingやProduct mixでさらに2%増、しかしながら為替で-7%です。

Volumeは増えているんですね。ちなみに2013年度からの推移は、28.2⇒28.629.2 billion unit casesとのこと。

地域別にみると
  • ユーラシア&アフリカで前年比+3%増。炭酸は前年比+2%、非炭酸が+6%。ロシア、ウクライナ、ベラルーシでは減少しております。昨今の原油安や紛争が影響しているのでしょうか。
  • 欧州で+2%。炭酸は+1%で非炭酸が+7%。Coca-Cola Zeroが好調だったようです。
  • 南米では+1%。炭酸はフラットで非炭酸が+4%。
  • 北米でも+1%。炭酸はフラットで非炭酸が+5%。
  • アジア・太平洋では+4%。炭酸・非炭酸とも+4%。中国が+5%、インドが4%、日本はフラット。インドは記載がありませんでしたが、中国ではコカ・コーラとスプライトが伸びたようです。

先進国の健康志向が顕著ですね。逆に言うと新興国の不健康志向(?)がいいですね。先日も日経新聞でインドとかで糖尿病患者が増えているっていうニュアンスの記事を読みました。

こうしてみるとフィリップモリス・インターナショナル(PM)やKOは、せっせとアボット・ラボラトリーズ(ABT)のようなヘルスケア業界の為にメシのタネを量産してあげているようなもんですな。なーんか食物連鎖をイメージしてしまいますね。


Operating Incomeがだらだら下がってきていますが、FY15に関していうと、為替のインパクトに加え、北米でのリフランチャイズとenergy brandsの販売のせいとあります。energy brandsってモンスタービバレッジの製品ですね。



財務3表(数値のソースは10-Kレポート、PLの表は若干つじつまを合わせています)。

あいかわらずDebtのジャグリングがすごいです。私はこれが気に入らなくてKOの保有株式数を去年減らしています。(参考記事 KO一部放出、MKCの獲得) 

10-Kには、株主への利益を増やすため、Debt financingをして資本コストを下ています、とかいう記載があります。まあ、この低金利ですからね。

ピーター・リンチさんによる『ピーター・リンチの株の法則』(平野誠一・訳、ダイヤモンド社)に、
 一般に、配当の支払いが済んだ自社株を借入金で買い入れることは、二重の意味で得である。借入金の利息が損金になるうえに、その後の配当金(これは税引き後の利益から支払わねばならない)の支払いが減るからだ。
という記載があります。

なるほど。

ただここ最近のKOのDebt増加はちょっとひどすぎる気がする。2016年2月にはスタンダード&プアーズがKOのlong term debt ratingを格下げしたようです。


ソースはAnnual Reportより
人々をメタボにする前に、自身のBSがメタボだぜ、KOくん。

いまのところ、これ以上のKOの株式を減らすことは考えていません。興味深く今後の推移を、缶コーラ片手に見守っていく所存です。たぶん。いきなり気が変わる可能性高いけど。

情報開示:この記事を書いている時点でKO355株、ABT108株保有

Appendix


数値のソースはモーニングスターのサイト


数値のソースはモーニングスターのサイト
前年度からのRevenue、Operating Income、配当の伸び率の推移。
数値のソースはモーニングスターのサイト


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