2016年1月28日木曜日

トリクルダウンの恩恵を その2 -ステップ【9795】の獲得- 

-それでさ本人が博士にでもなってくれれば先方でも世間へ対して肩身が広い、面目があるというんだがね、どうだろう、近々の内水島君は博士論文でも呈出して、博士の学位を受けるような運びには行くまいか。-なあに金田だけなら博士も学士もいらんのさ、唯世間と云う者があるとね、そう手軽にも行かんからな
夏目漱石 『吾輩は猫である』 新潮文庫
前回の『トリクルダウンの恩恵を その1 -明光ネットワーク【4688】の獲得-』に書きました通り、神奈川県限定で学習塾を経営しているステップ(9795)を獲得しました。

9795は、なんていいますか、例えばエクソンモービル(XOM)とかと比べると、規模でいえば銀河系の彼方に位置していそうな感じですね。4688は不安定な時期にあるので、ある種保険のような感じで同業他社の連続増配当銘柄である9795を同時に獲得した次第です。

XOMが世界をまたにかける帝国を築き上げていますが、9795は、極東の島国で独特な進化を遂げている教育産業において、神奈川県限定で高校・大学受験に特化してドミナント展開している(この記事を書いている時点)、ある意味ちっぽけなハリネズミのような銘柄です。


しかしこの規模の小ささに同銘柄の強みがあります。


すなわち、

  • 神奈川県の受験事情に沿った教育を臨機応変に行う
  • 講師陣の教育をしっかり行い、質の高い教育を比較的生徒数の少ない対面授業で提供する(講師の95%以上が正社員)

ということが可能です。

サービスの質を落とさないため、開校のペースは年間5スクール程度まで
に抑えており、また私立中学受験に関しては異なる分野としており、手を出していません。

(以上ソースは同社の経営方針より)


その結果、たとえば2015年では神奈川県の公立トップ高校19校に1,918名が合格し、塾別の合格者数でトップに立っているようです。(ソースは第37期事業報告書)。


また、質の高いサービスを提供することにより、口コミで生徒が集まるため、宣伝広告費が低くて済むのも地域限定のメリットみたいです。キャッシュフローは以下の通り。

数値は有価証券報告書より
2016年1月現在で小・中学部が119スクール、高校部が12校あります。これをそれぞれ160スクールと20校まで拡大するつもりのようで、それが成し遂げられるまでは神奈川県外に進出するつもりがないようです。(ソースは同社の経営方針より)

というわけで、向こう10年強は引き続き神奈川限定の可能性が高いようです。もともと藤沢から出発しており、東進してきているようですが、まだ川崎市は未開拓で、田園都市線を東へ、東横線を北へと、じりじりと進撃中です。これらの沿線の東京寄り方面は、教育意識及びVanityが高い大票田エリアかと思います。


また学童保育にも手を出しているようです。

これまで売上高は年に5%前後の伸びで推移してきています。今後も手堅く同じようなペースでのびていくのではないでしょうか。配当性向は30%を目安にしていて
(ソースは同社の経営方針より)、今後の増配率も売上高の伸びと似たような感じが期待できるのではと思います。ちなみに同銘柄は15年連続増配中。

西は天下の嶮の箱根の山、北は丹沢山地、南は相模湾、東は多摩川という天然の要塞に守られたエリアの中にとどまっている限り、9795は長期に投資するにあたって死角のないワイドモートな銘柄と言ってよいのではないでしょうか。小田原落城⁉ 黒田官兵衛は没して久しい。

リスクはというと・・・地震ですな。ついでに津波なんか起こった日にゃ、一網打尽でやられてしまう可能性がありますね。まあ、これは9795に限った話ではなく、多くの日本銘柄も似たり寄ったりな宿命を抱えてはいますが。

情報開示:この記事を書いている時点で9795x100株、4688x100株、XOM67株保有

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Appendix BS

数値は有価証券報告書より


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