2015年7月18日土曜日

スタンレー・ブラック&デッカー(SWK)のレビュー

はじめにJMスマッカー(SJM)が4.7%の増配発表です。18年連続増配になります。

さて、局地戦の覇者、ジョンソンとコルゲート・パルモリブ(CL)で書いたように、私としてはCLの調査をしてみたかったんだけど、なんだかアニュアルレポートが読みづらい。キンバリー・クラーク(KMB)ほど無味乾燥ではないのだけど、いまいちしっくりこない。

というわけで、どうせ割高だし、モチベーションが上がらなかったのでCLはほったらかして、マニラのDIYショップで目撃したスタンレー・ブラック&デッカー(SWK)を調べてみました。

これがなかなか資料が読みやすいです。エマーソン・エレクトリック(EMR)もそうなんだけど、米国の老舗のIndustrialsの連中はけっこう忠実な猟犬が主人を見つめるようなまなざしで、株主をみているのではないでしょうか。

SWKはThe Stanley Worksとして天保14年にコネチカット州で創業され、明治43年にメリーランド州で創業されたThe Black & Deckerと平成22年に合併しております。昭和43年から一貫して増配中。老舗のIndustrialsの御多分にもれず、買収で規模を大きくしており(今年もいろいろ企んでいる模様)、平成14年から累計で$6.2Bを買収に費やしています(上記合併を除く)。

平成27年はじめには50,400人の従業員がいます。

Investor Overviewを眺めると、新興国、とくに中国を中心とするアジアへ力を入れつつようであり、中国のバスケチームのスポンサーになったりしていますね。

あと、今朝マー君が投げるヤンキース vs マリナーズのヤンキースタジアムでの試合をテレビで観ていたら、外野フェンスにでかでかとStanleyの看板がありました。

で、事業は、おおきくわけて3つのセグメントに分かれています。


Investor Overviewより抜粋
Tools & Storage

プロ・一般家庭向け。電動工具や普通の工具等、日曜大工のツール全般。多くはホームセンターやハードウェアストアー、個人商店等で販売されているようです。グローバルで約20%のシェア。

SWKの商品群、マニラのDIYショップにて
Industrial

自動車の補修関連のツール、溶接システムやブラインドリベット・ブラインドインサート関連のツール(書いててもよくわからん)、資源関連のパイプラインの販売や貸し出し、それらの溶接やコーティング、はたまた検査等々を提供。

Security

電気セキュリティシステムの販売やメンテ。自動ドアや監視カメラ、電気ロック等々。この分野では世界第二位。でも、このセグメントは会社の目標であるOperating margin 15%に届いておらず苦戦中で、ヨーロッパのイタリアやスペインでの事業から手を引くなど、テコ入れをおこなっている最中。

新興国での売上を20%以上にする目標を立てており、去年度末で17%。地域別の売上は以下の通り。


Investor Overviewより抜粋

Industrialの分野で新興国の割合が大きいですね。全体ではRevenueの米国とそれ以外が約半分ずつとなっています。

では、Revenueの推移をみてみます。(以下グラフの数値のソースはモーニングスターのサイト



2010年度の増加は合併によるものですね。去年度は為替の逆風にもかかわらず、Operating Marginが大幅に改善しています。あとは足を引っ張っているSecurity分野をうまく改善できるかですかね。

一株当たりの指標と配当性向。




Payout ratioは30-35%をターゲットにしているようですが、それより高めで推移していますね。うーん、ということは増配率と言う点では、そこまで期待できないかもしれない。

でもフリーキャッシュフロー(FCF)が潤沢にGenerateされているので、それに対するPayout ratioの方が低い。13年度は買収があったので、FCFは低くなっています。

キャッシュフローをウォーターフォールで見ます。


数値はアニュアルレポートより

うーん、とくに問題ないように思います。自社株買いが少ないですが、買収とかが少なくてキャッシュが余ったらもっと株主還元に動きそうな気はします。

キャピタルアロケーションのストラテジーとしてネットセールスの2.5-3%をフランチャイズやCapexに、FCFの50%を株主還元に充てると謳っています。

なんとなくですが某国のIndustrialsのT芝さんみたいなことは、やらかさないんじゃないかな。地味ですがポートフォリオの忠犬として加えるのも悪くないかもしれませんね。

情報開示:この記事を書いている時点でSJMx22株保有

Appendix BS

ソースはモーニングスターのサイト

2 件のコメント:

  1. こんにちは、最近になって米国株に関心をもった「いおい」と申します。
    いつもブログとても参考にさせていただいています。
    ところで、私には今1000万ほど投資に回せる資金があり、アーリーリタイア様のように
    米国高配当銘柄につぎ込みたいと考えていますが、今は株価全体が高く、
    なかなか購入にふみきれません。
    そこでご相談なのですが、この1000万を投資する場合、今は、国内のIPO等の投資で資金を貯めて
    またリーマンショックのような時がくるのを待つべきでしょうか?それともコツコツ毎月10万くらい投入して
    10年くらいかけて買い増すべきでしょうか?他になにか良い方法はありますか?
    あと、私も配当自動再投資をしたくてfirsttradeの開設を考えましたが、米国への送金手数料が
    今後コツコツ追加資金を再投資する場合にかかりそうなのとでマネックス証券で始めようと考えておりますが、
    なにかアドバイスはありますでしょうか?
    サードマンにはとても共感を覚えます。
    私も引退したときにサードマンがいてくれると嬉しいです。
    長文になり、すいませんよろしくお願いいたします。

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    1. いおいさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
      まずはじめに私はアーリーリタイア様ではありません。つぎに私は他人様の資産の運用に関してアドバイスをするほどのものではありません。素っ気ないようで恐縮ですが、ご理解をいただければと思います。
      1000万(円?)は大金ですね。幸運をお祈りいたします。

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