2020年1月15日水曜日

ワイルドサイドを歩け - 投資家K.のアニュアルレポート 2019 -

What is a cynic? A man who knows the price of everything and the value of nothing.
なにが皮肉かって? 値段だけは知り尽くしているが、ものごとの価値に関しては、さっぱり理解していないやつのことさ。    
 オスカー・ワイルド
あまり考えたくないことではあるのですが、私がこの世に生を受けてから半世紀近くがたとうとしております。

近畿地方の片田舎の、明治から大正にかけて建築された古い家に生まれたのですが、子供のころはこの季節だと、庭にあった水道の蛇口は凍っていましたね。もちろん屋内の水道も温水なんぞ出るはずもなく(なんせ中学まで五右衛門風呂だったし、高校まで汲み取り式トイレだった)、毎朝、顔を洗うのがつらかった。

隙間風が吹きすさぶ茶の間で、こたつの布団に首までもぐりこんで、ガチャガチャっと取っ手をまわしてチャンネルを変えるテレビ(映りが悪くなると、ひっぱたいて直すやつ)を観ていましたね。

そのテレビでは『八時だよ全員集合』をやっており、画面のコントの背景には、三角屋根の工場から黙々と吐き出される煙がスモッグとなっていくさまがリアルに描かれていたのでした。

空がネズミ色や。実家は田舎だったので青空でしたが。

当時は海水浴に行くと、赤潮が大発生だったな・・・

年末年始に帰省したおりに、ムスメを連れて昔よく遊んだ海や公園を訪れて、澄んだ空とさわやかな潮騒を楽しみながら、ついつい物思いにふけっておりました。

何が言いたいかといいますと・・・世の中は確実に良くなってきている、ということです。そしてもっと良くなっていくんだろうな、と確信しています。

10年くらい前に建て直した実家(地熱を利用した家で、エアコン無しでもあたたかい)では、レバーを押すと温かいお湯が出て、おかげで起き抜けから快適にジレットできます。

その昔、オヤジはどうしていたんだろ?

ピケティをはじめとして、格差がどうのこうのという議論が昨今よくされているのですが、たとえそうであったにせよ、生活水準のボトムアップは確実に成し遂げられてきています。例外はあれど、日本だけに限らず。

何が(誰が)、その進歩・発展に貢献したのでしょうか?

それは資本主義経済のもとで、価値と利益を生み出し続けている企業です。もちろん科学者(うちのワイルドワイフもその端くれ)や政治家も多くの役割を果たしてはいると思いますが、それらを日々のTangibleなレベルに落とし込んでいるのは企業です。

その企業の株式を持ち続けるは、最も手堅く理にかなった投資方法だと確信しています。

私が投資をする対象は、決して株価や基準価格の推移そのものではありませんし、それに紐づくPBRやPERの値でもなく、ましてや信託報酬の多寡ではありません。もちろんFRBの金利政策や、ヒンデンブルグ・オーメンや、太陽の黒点の数や、シン・ダイトーリョーのツイッターの内容でもありません。

私の投資は、企業が人々・社会に提供する製品やサービスの価値に対して行われます。見据えるのは、それらが人々に笑顔をもたらし続けているか否か、です。

オスカー・ワイルドもこう言っています。
Life is not complex. We are complex. Life is simple, and the simple thing is the right thing.
人生が複雑なのではない。我々自身が複雑なのだ。人生はシンプルで、シンプルなことこそ正しい。

ブログで自身の投資活動を綴るようになって5年。たどりついたのは、とてもシンプルな境地です。2019年は、自身の投資における軸足がしっかりと固まったことを実感した年になりました。

・・・本当のところは、バリュー投資家がやるような企業の本源価値とやらの計算が逆立ちしたってできないだけだし、レイ・ダリオ的な人が天才なのか、ややドーナツの穴のほうを見たがる、しんねりむっつり型ホラ吹きなのか見極めがつかないだけなんだけどさ。

***

一方でオスカー・ワイルドはかくも語りき。
Consistency is the last refuge of the unimaginative.
一貫性というものは、想像力が欠如したヤツの、最後の砦だ。

ま、あまりに一貫性にこだわると、単なる世捨て人だ。私の場合、かえってそのほうがしんどい。

てなわけで、想像力を膨らませた挙句、旗艦ファンドであるThe 3rd Man's  Fundにおける投資方針を大きく変更し(連続増配年数の縛りを撤廃)、また3つの作戦を導入することになりました。

結果、年末のポートフォリオ(正確には2020年1月4日時点)は以下の通りになっています。(1ドル=108.09円で計算) 




MKCが引き続き安泰の旗艦企業です。一年前と比べるとZTSが伸びてきました。

2019年の資産は推移は以下の通りでした。




次の段階への種まき(播種)の一年でしたね。相場環境が良いときは、ネクスト・ステップの種まきをするに限る。発芽、生長、開花、結実、収穫・・・といきますでしょうか。2020年は水やりですな。

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以前に勤めていた会社(グローバル・ヘルスケア企業、連続増配中)のEmployee Stock Purchase Plan (ESPP)を通じて購入した株式があります。こちらはDripで自動的に再投資が行われるので、完全放置状態です。

2019年はDripにより16株増加しています。株価は上昇中なのですが、増配率も同じペースなので、Dripされた株数は昨年と同じとなりました。

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個人型確定拠出年金では、毎月DCニッセイ外国株式インデックスと農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねに積み立てています

2019年も、一度も積み立てをSkipすることがなく無事終了しました。年末の投資信託の比率は以下の通りです。ほぼ積み立ての割合と同じです。






つぎにムスメ(4.9歳)とムスコ(1.5歳)の教育資金のための作戦『汝の父を敬え』。2019年は第二戦線(ムスコ向け)を樹立しました。2つの戦線とも一度も積み立てをSkipすることがなく無事終了しました。年末の投資信託の比率は以下の通りです。ほぼ積み立ての割合と同じです。







なにやらスパークスの厳選投資からは資金が流出してるようですが・・・もちろんキャッシュが必要になった人もいらっしゃるでしょうが、それ以外の人はどういう理由で解約しているのであろう・・・人の心は、わからないな。漠としたものを感じる。漱石でも読むか。

最後に、来るべき日本の多死社会が生み出すマッシブな需要に的を絞って運用する日本株式のポートフォリオ『いざ・波』。

鎌倉新書(6184)の保有株数を減らし、一方で新たにKeePer技研を組み入れています。ですが、全体的に動きが少ない1年でした。

年末のポートフォリオは以下の通りになっています。





2019年の課題であった鎌倉新書の割合の縮小は、一定の進歩がありました。

また、資産の推移は以下の通りでした。




評価額的には、2018年に引き続き、素晴らしいパフォーマンスになりました。

【2020】OUTLOOK


2020年もCapital allocationは以下の通りの優先順位で行きます。

収入-(生活費+娯楽費等々)= 0.投資用可処分所得
  1. 当座生活予備費
  2. 企業型確定拠出年金
  3. 汝の父を敬え作戦
  4. The 3rd Man's  Fund
  5. 『いざ・波』
  6. ESPP

勤めている企業で企業型確定拠出年金が導入されることになり、個人型から移行する予定です。そのほうがたくさん拠出できるので。個人型はSBI証券を利用していたのですが、このたびの企業型は取り扱いのある投資信託が異なるため、2.と3.でシャッフルを検討中です。

『いざ・波』は早い時期に少し動くかもしれません。すでに2企業に狙いを定めました。

ESPPは放置。DRIPにて自給自足。

旗艦ファンドのThe 3rd Man's  Fundにおいては、昨年同様ミスター・マーケットから程よい距離感・緊張感を保ちつつ、慢心することなく企業の生み出す価値を見据えながら投資を継続します。


情報開示:面倒くさいのでSkip

PS. 当記事のタイトルは、もちろんルー・リードの名曲『Walk on the Wild Side』からとっています。悩んだときは、これを聴くに限りますな。Doo dodoo…

過去のアニュアルレポートはこちら

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