2017年11月3日金曜日

老舗連続増配企業に祝福のKISSを その3 -プロクター・アンド・ギャンブル(PG)-

 日曜日の朝、僕は九時に起きて髭を剃り、洗濯をして洗濯物を屋上に干した。素晴らしい天気だった。最初の秋のにおいがした。
村上春樹 『ノルウェイの森(上)』 講談社文庫
もう11月です。開け放ったベランダの窓から漂ってくるのはかなり深まった秋のにおいと洗濯物のアリエールの残り香ですね。すでにプロクター・アンド・ギャンブル(PG)はFY18の第一四半期の結果を発表してしまっているのですが、今更ながらにPGのFY17のレビューをしてみます。

私の場合、これくらいのスピード感がちょうどいい。あと銘柄と付き合うのも盆か正月のいずれかに会う親戚くらいの距離感がいいですかね。

最近観た映画『ダンケルク』(以下茶色文字は同映画からの抜粋)では、陸・海・空の3つの時間軸をもとにストーリーが描かれていましたが、それでいくと私の投資法は陸の時間ですね。短期トレーダーは空の時間で、いわゆる長期と呼ばれる機関投資家は海の時間。

てなわけで、このブログではどんなに空に向かって目を凝らしても友軍機は見つかりません。現れるのはミスターマーケットがよこす急降下爆撃機のみ、身をすくめる以外なすすべなし。

Where is the bloody air force!!!

映画にハマりすぎだ。

では、RevenueとOperating Income。


数字のソースはモーニングスター
トップラインは例によって為替や事業の売買で左右されるので、まあ、ふーんと眺めるとして、Operating Marginは引き続き伸びています。

数年来アニュアルレポートではひたすら組織の効率化を謳っていました。結果として過去2年間で105のブランドが整理整頓されたそうです。


おまけに2012年度に126,000人いた正規社員は、2017年度に95,000人となっています。5年で25%減ですね。

Operating Incomeをもとに計算してみると、2012年度には一人当たり$103Kを稼いでいたのが、2017年度には$147Kになっています。(2017年度:$13,955M ÷ 95,000人)

ちなみにクロロックス(CLX)の2017年度は$139K。($1,127M ÷ 8,100人)

花王(4452)の2016年度は有価証券報告書の営業利益から算出すると¥5,590Kでだいたい・・・えっ!、$51K・・・、まじか、計算違いか・・・

185,571百万円 ÷ 33,195人 (有価証券報告書のP2) ÷ 108.84

どこかで間違っているのだろうか。

小林製薬(4967)は$60K
18,260百万円(有価証券報告書のP52) ÷ 2,804人 (同P1) ÷ 108.84

計算間違ってないよなあ・・・

"How many men are they talking about? "
"Churchill wants thirty thousand. Ramsay’s hoping we can give him forty-five."
"There are four hundred thousand men on this beach, sir."

大佐:彼らは何人救うつもりでありましょうか?
提督:チャーチルは3万人、ラムゼイは4万5千人と。
大佐:この浜辺には40万人の兵士がおるのですぜ、Sir!

桁が違いまっせ、提督‼!、とダンケルクの浜辺で追い詰められた大佐でなくても叫びたくなるような違いですね。

数年前に一度テニスでダブルスを組んだ外資系生活必需関連に勤めていた人曰く、花王はマッシブな人海戦術、コバセイ(4967のこと)は体育会系、エステーは叩き売りとのことでしたが(あくまで営業部隊の話)・・・うろ覚えやけど。

私の計算間違いか、そうでなければ我が国のどこかで何かが大きく間違っているか、皆さま私の計算でおかしなところがあるようでしたら是非ご指摘を。これ労働時間に直したらもっとひっでーことになりそうで怖いですな。

☆☆☆

もう有名なのかもしれませんが、アニュアルレポートでPGのMoment of Truthが面白かった。3つのMomentが書かれていて、なにやら:

0 Moment of Truth: 消費者がブランドや製品の情報を集め始めるとき
1st Moment of Truth: 消費者がお店やオンラインでショッピングするとき
2nd Moment of Truth: 消費者が製品を使うとき

なのだそうで、これらのMomentsで勝利を勝ち取るために日々ブランドや製品を高めているのだとか。とくにPackagingに力を入れつつあるような、つまり消費者のEyesをcatchすることにフォーカスしようとする気配がアニュアルレポートから感じ取れます。

ちなみに私の場合、株式投資のMoments of Truthならよく知っています。

0 Moment of Truth: 独身30代・彼女無しでヒマと小金を持て余し、仕事ではうだつが上がらず鬱屈とした気分のとき
1st Moment of Truth: A新聞(私は当時病んでいたのであろう)の週末コラムで藤巻氏の連載を目にしたとき
2nd Moment of Truth: 本屋さんで本の表紙の藤巻氏と目が合ったとき
3rd Moment of Truth: その他もろもろの書籍やネットで真理をつかみ、世間の皆様や施政者がバカに見えたとき
4th Moment of Truth: はやる心をなだめながらネット証券に口座を開いたとき
5th Moment of Truth: 栄光へのクリックをしたとき
6th Moment of Disaster:   サブプライムローンがはじけたとき

なんびとも一島嶼にてはあらず・・・

☆☆☆

各セグメント別にみてもそんなに特筆すべき事柄はないのですが、BeautyではSK-IIが好調だがヘアケア-関連では利益がいまひとつ、Groomingでは世界的に髭剃りの競争は厳しいけど電動は調子がいい、Health Careでも電動歯ブラシが好調、Fabric & Home Careはよくもなく悪くもなく、しかし途上国で苦戦中、Baby Feminine & Family Careは報告すべき件無し。

全体的にプレミアムな方面が好調な印象があり、世界経済はやっぱり好調なのでしょう。

うちのムスメ(2.7歳)は、そろそろパンパースを卒業しかかっており・・・しかし近所のドラッグストアの店員さん、有村架純似なんだよな。

ムスメよ、ゆっくりと育つがいい。

☆☆☆

財務諸表(数値のソースはアニュアルレポートより)

P/Lは多少のつじつま合わせをしています。おおまかなピクチャーをつかむのが目的なので。あとNet earning from discontinued businessの数値を右に持ってきましたが、それが正しいのかどうかはわからない。



現在のPGの印象は、『マネー・ボール〔完全版〕』(マイケル・ルイス・著 中山 宥・訳 ハヤカワ文庫)で書かれたアスレチックスのように、論理的にやるべきことはやった、最終的に長いレギュラーシーズンを戦い終えるとトップに立つ体制が整ったという感じです。

あとはポストシーズンを制するために必要なゼッコーチョー・ミラクル男(かつての中畑清さんみたいなヤツ)が登場すれば・・・なんですけどね。

TRAPPED AT DUNKIRK, THEY AWAIT THEIR FATE
HOPING FOR DELIVERANCE
FOR A MIRACLE

情報開示:この記事を書いている時点でPG83株、CLX24株保有。

このブログでのPGのその他の記事はこちら


Appendix 
配当性向の推移


数字のソースはモーニングスター

5年間のトータルリターン

アニュアルレポートより


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