2017年7月27日木曜日

八雲立つ -ポートフォリオの変態 その2-

その意味で戦略は進化すべきものである。進化のためには、様々な変異(バリエーション)が意識的に発生され、そのなかから有効な変異のみが生き残る形で淘汰が行なわれて、それが保持されるという進化のサイクルが機能していなければならない。
『失敗の本質』(中公文庫)
つい3か月前にThe 3rd Man's  Fundコア銘柄を八つ選んだばかりなのですが、さっそく入れ替えをします。コアから外れるのはジョンソン・アンド・ジョンソン(JNJ)で、新規に組み入れるのはA.O.スミス(AOS)です。

さすがに世の動きに愚鈍な私でも(メルカリが流行りのお菓子ではないらしいことを最近察した)、昨今のIT技術の発展とそれを利用して社会にあらたな潮流をつくりつつあるアマゾン(AMZN)の台頭、およびブリック&モルタルズの地盤沈下の影響に気づかないわけにはいきません。

ですので意識的にコア銘柄からウォルマート(WMT)とターゲット(TGT)を外したのですが、ことAMZNがホールフーズを買収するに至り、旧来の小売店とけっこう一蓮托生的な商売をしている生活必需品銘柄への影響も考慮に入れておかないと、しんどいことになるかもしれないです。

これまでThe 3rd Man's  Fundは、どちらかというとタバコをめぐる冒険』で書いたようなヒトをヒトたらしめる生活必需・嗜好品を提供する銘柄中心に獲得してきたのですが、今後こればっかりを繰り返していると、それこそガダルカナルへ護衛なしに輸送船団を送り続けるのと同じ結果を迎えかねません。

なのでちょっと意識的に今後獲得していく銘柄を、以下の私なりに定義した3つの分野に属するものを選んでいくことにしました。

一つ目の分野は、それでもタバコをめぐる冒険』分野です。現在これにあてはまる保有銘柄は以下の通り(オレンジ はコア銘柄)。

MO, KO, DPS, WMT, PG, MKC, MCD, SJM, 2914, CLX, GIS, TGT

次に来るのはヘルスケア。なんといってもこれから先進国を中心に、それなりに裕福な高齢者の絶対数は増えますからね。現在保有しているのは、

JNJ, ABT, ABBV

で、なんでそのJNJをコアから外したかといいますと、実は以前ヘルスケアの会社に勤めていて、そのときESPP (Employee Stock Purchase Plan)でその会社の株式を、えーと、7年くらいかな、給料天引きで買い続けていました。それをポートフォリオに加えると一気にヘルスケア偏重になってしまうからです。約50%。いくらセクターの比率は気にしないとはいえ、さすがに偏りすぎです。


ESPP銘柄はClassified

おまけにそのESPPの銘柄はDripで自己増殖中でもあります。ああ、これがなければもっとABTを獲得していたのだけど…バーゲン期間は終了したかな。

さらには・・・オレはおクスリのことはさっぱりわからん。JNJはおクスリ事業がでかいですからね。アニュアルレポート読んでも、おもしろくともなんともない。

というわけでこの分野はさしあたり放置です。みな、病んでくれ。

で、今回新たに設定した3つ目の分野(ひところ流行った3本目の矢)は、米国の住宅関連です。私は米国の人口動態から鑑みて、今後結構長い期間、かの国の住宅分野は安定して成長すると考えており、その恩恵を受けそうな銘柄は現在のところ以下の通り。

ROL, SJM(むりやり・・・だって家を建てるとイヌ・ネコを飼うでしょう)CLX(これもむりやり、おうちはきれいにしとかんと・・・)EMR (いちおうCommercial & Residential Solutionsセグメントがある・・・)

で、ここの枠に入れるために今回AOSに白羽の矢が立ちました。家をたてると温水装置も自動的についてきます。そしてAOSの北米での稼ぎの多くはそのメンテナンス(交換)からきています。いいじゃないですか。

この銘柄はSeeking Alfaに投稿されていたMike Berner氏による『Rollins: The Ultimate Recession-Proof Company』という記事に寄せられたRizzo Jonezなる人物のコメントでその存在を知りました。ざっとAOSのSECの2016年度年次報告書に目を通し、なかなか面白そうじゃないかと。24年連続増配中なので銘柄選択の基準を満たしています。

ただAOSの気になるところは、2016年度の売り上げの35%がOUSで、その多くが中国という点です。中国の住宅事情はかなりバブルっぽいので、そろそろヤバいんじゃないかな…

てなわけで、さしあたりはおっかなびっくり打診で新規獲得です。しばらく様子を見ながら、ゆっくり増やせて行けたらいいなあと、で、結果的にAMZNインパクトに対するネガティブエクスポージャーを少しでも減らせたらなと考えています。

えっ!? AMZNは獲得しないのかって? だって配当出してないしなあ。あとTGTは機会をみて放出するかもしれない。

AOSに関しては、また記事をアップしたいと考えています。しかし最近忙しいんだよね。

情報開示:この記事を書いている時点でAOS40株保有、その他の銘柄は割愛

【関連記事】『八雲立つ -ポートフォリオの変態 その1-

2 件のコメント:

  1. ROL絶好調ですね。コメントした者として何よりです。AOSもいいですよね。仰るとおり中国比率が懸案事項なんですよね。水もいいですが空気もいいなと思いましたので個人的にはLIIも良さそうかななんて考えております。

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    1. 一時期騒いでいた中国の理財関係の報道、最近あんまり見ないですね。たんなる杞憂だったのか、さらに実態は悪化しているのか。静かな時が一番ヤバいですからね。LIIも時間があるときにちょっと見てみたいと思います。

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