腰を下ろしたまま、長いあいだ紙幣を眺めていた。ようやく私はそれをレター・ケースに入れ、キッチンに行ってコーヒーを作った。感傷的と言われるかもしれないが、テリーに頼まれたとおりのことをした。二つのカップにコーヒーを注ぎ、彼の方にバーボンを入れ、それをあの朝に彼が座ったテーブルの片側に置いた。彼のために煙草に火をつけ、カップの隣に置いた灰皿に載せた。コーヒーの白い湯気と、煙草の先から立ち上る細い煙の筋をじっと眺めた。
レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』 村上春樹・訳 早川書房フィリップ・マーロウはどの銘柄の煙草を吸っていたのだろうか。
なんとなくキャメルかウィンストンかなという印象ですが、どうでしょう。マールボロやラッキーストライクじゃ、ちょっと雰囲気が違う気がするし。私が記憶している限り、銘柄の記述は、一連の登場作品に出てこなかったと思うのですが、どうだったかな。
私は煙草を吸うのをやめて久しいのですが、毎度確定申告を終えた後は、むっつりと煙草に火をつけて、細い煙の筋をじっと眺めたい気分になります。男は黙って赤ラーク、タフでなくては生きていけない、税金についてはつべこべ言う資格はない。
The 3rd Man's Fundの主力銘柄であるアルトリア・グループ(MO)と、気になってはいるものの未獲得のフィリップモリス・インターナショナル(PM)の2015年度の結果をみてみます。
もともと同じ会社だったのが、USとOUSの2つに分かれてMOとPMになっています。それら2つを比較することにあんまり意味はないかとは思いますが、なんとなく。
まずはMO。
Revenueの推移をみます。
ソースはモーニングスターのサイト |
財務3表(数値のソースは10-K)。
わりとヘビーなBSです。流動性負債には、しっかり和解金の引き当てみたいなのが含まれています。
投資キャッシュフローは通常ネガティブな数字が普通ですが、MOはポジティブか、微小なネガティブです。なので営業キャッシュフローからDebtの返済を済ませた後は、まるごと株主還元です。
PLで面白いのは煙草への税金ですかね。こりゃ、けっこうでっかいですねー。紳士は税金と寝た女の話はしないということですが、アルトリアくんも、ここは寡黙にマールボロの先から立ち上る細い煙の筋をじっと眺めるしかありませんな。
純利益の利回りは16%。キャッシュマシーンです。
今後も米国へはたくさんの移民が流入します。そして彼らの多くは、一日の労働のあと、ほっと一息つけるために、ミラービールの缶を片手にマルボロに火をつけることでしょう。徒手空拳でやってきた彼らに、ほかにどんな手ごろな娯楽がある?
MOの未来は安泰と思われます。
次にPM。まずRevenue。
数値のソースはモーニングスターのサイト |
ちょっとVolumeの推移を確認してみます。
数値は10-Kより |
財務3表(数値のソースは10-K)。
いやはや、こうしてみるとタバコ税がBSよりでかい・・・、モリスくん、まあ、一緒に喫煙室で一服しようか。
で、あんまりタバコ吸いながら話すことではないかもしれんが、債務超過分は若干増加しているぜ。
さすがに2015年度はDebt issueを減らし、また自社株買いを大きく減らしています。ただですね、負債の返済が以下の通りずらずらっとたいそうな金額が並んでいて、大丈夫かな。
10-Kより抜粋 |
モリスくん、もう一本吸ってく? まあ、遠慮せず。
今後も自社株買いはあんまり期待できないかと思いますが、ひとつ面白いのは、最近PMの株価が好調ですね。ひょっとしたら過去の自社株買い、けっこうお買い得なタイミングだったのかもしれません。
情報開示:この記事を書いている時点でMO180株保有
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