2018年10月27日土曜日

暁のZ作戦・その1 -エクソン(XOM)の放出とゾエティス(ZTS)の新規獲得-

メジャーリーグのワールドシリーズは、レッドソックスvs.ドジャースですね。ムスコ(3か月)のアタマの形がフェンウェイ・パークみたいになってしまっているので、なんとかドジャースタジアムのようにならないかなあ、と思いながら中継を観ています。それにしてもワールドシリーズ第3戦はまさに死闘で、私もありとあらゆる妨害工作を仕掛けてくるムスメ(3.8歳)と死闘を繰り広げながら、延長18回の結末を観ました(途中ムスメの水泳教室に行ったりしたので通しで観ていないですが。)マエケン、圧巻でしたね。

さて、ワールドシリーズのような栄光の舞台に縁のない私みたいな弱小個人投資家は、地道にポートフォリオの補強にいそしまねばなりません。エクソン(XOM)を全部放出し、それを原資にゾエティス(ZTS)を新規獲得しました。

XOMは2014年末に新規、2015年末に追加獲得しています。


Yahoo Financeより、XOMの過去5年間の株価推移

今回放出した理由は、うーんちょっと苦しいですが、投資方針の、

  • 保有している企業が生み出すバリューが低くなったと判断したとき

にひっかかったから・・・、というか無理やりこじつけました。

本当のところは、ゾエティス(ZTS)をどうしても獲得したくなったため、その財源を確保する必要があったのと、これ以上The 3rd Man's  Fund構成企業数を増やしたくなかったためです。

今年はある事情があり、泣く泣くドクターペッパー・スナップル・グループ(DPS)を放出したのをはじめ(参考記事『さらば、愛しきドクターペッパー・スナップル・グループ (DPS)』)、けっこう利益を出してしまっているため、現時点で評価損を出している企業から、一番保有してる理由(グリップ力)が薄弱なものを選んだ結果、XOMが放出の運びとなりました。

(オイル)断大敵ともいいますし、本来であれば今このときに追加こそすれ放出するなんぞもってのほか、と思わないでもないのですが、どうしてもZTSが欲しかったので。

XOMは新規獲得から約4年近く保有し、受け取った配当は計$469.23でした。

***

で、ZTS。

グローバル製薬企業の大手ファイザーから独立したアニマルヘルス企業です。2017年にはアニマルヘルス企業として初の売り上げ$5Bを達成している世界シェア約2割の、業界のリーディング・カンパニーです。従業員数は全世界で9,200人。
欧州にて撮影


ブタや牛、鶏、魚、羊といった家畜と、イヌやネコ、ウマといったペット(というか、もはや家族。アニュアルレポートではCompanion Animalという表現)に、感染予防やワクチン等のおクスリを提供しています。Companion Animalは主に獣医さん経由(ということは病院への卸経由もけっこうある)、家畜分野は、わりと直に生産者と取引したりしているみたいですね。

100ヶ国以上(USとOUSの売り上げ比率は約半分)に300以上の製品を提供しています。ブラジルや中国などの新興国は、売り上げの約23%を占めています。

というわけで日本にもゾエティス・ジャパンがあり、そのホームページを見ると、歴史や製品がよくわかります。日本では売り上げの54%がCompanion Animalで46%が家畜。ちょっと驚きなのが、この比率は米国のそれとほぼ同じ。なんとなく日本ではCompanion Animalの割合がもっと高く、米国ではその逆というイメージがあった。

主な競合は、ベーリンガーインゲルハイム・アニマルヘルス(サノフィから買収)、メルク・アニマルヘルス、イーライリリー、バイエル・アニマルヘルス等です。

ZTSのことは、個人型確定拠出年金で積み立てている『農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンドの第一回運用報告会や月次の運用レポート(ちなみに2018年9月のレポートはZTSに関して興味深い情報が記載されています)で知りました。

獲得の理由は以下の通りです。
  1. ペット市場の成長
  2. 世界の人口増
  3. ジェネリックの参入が困難
  4. ウィッチクラフト情報
1.は以前 『JMスマッカー (SJM)、私立探偵御用達銘柄へ』で書いた通り。またときおりランニングする多摩川沿いにある日本動物高度医療センター(以前株式を保有していたことがある)の駐車場は、いつも満杯です。家族の一員の一大事に、おカネの出し惜しみはなかなかできません。今後は前を走るたびにニヤリとしそうで、こりゃ、不謹慎ですな。

2.ですが、世界の人口動態とミドルクラスの増加を鑑みると、食糧供給の観点から見てますます家畜の重要性が増します。コオロギ等の昆虫の食用化もけっこう真剣に検討されているという話も聞いたことがあります。

しめしめ、郊外にコオロギ工場をおったててひと儲けしてやるか、というのもいいかもしれませんが、そりゃ『こち亀』の両津さん並みのバイタリティがないと難しそうだからなあ。一般人ならZTSの株式保有の方がいいような気がする。

3.は、ZTSのアニュアルレポートによると、やはりヒト様のそれと比べて動物マーケットは小さく、なおかつ家畜エリアを中心とした独特の商習慣における直取引の開拓や、獣医・生産者の教育の手間暇がかかってくるので、大規模な企業が参入に二の足を踏むとのことです。

4.は、農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンドの第一回運用報告会で耳にした面白い話。その話の内容は、今週のメルマガ(有料)で・・・。

・・・というのは冗談ですが、内容はClassified。

ペット・家畜の存在というのは、ヒトをヒトたらしむ豊かさを生む。そしてZTSはそれらの動物の品質(という言い方はアレやけど)を高めることにより、まっとうな利益を生んでいる。



というわけで、人類の「豊かさ」への希求を意識した投資となります。


欧州にて。静かな湖畔の朝

財務3表。数値のソースはアニュアルレポートより。P/Lはあくまで全体像をつかむためなので、多少のつじつま合わせをしています。





投資キャッシュフローがときおり大きくなるのは買収によるもの。買収はZTSの重要な戦略です。2015年はアボット(ABT)のアニマルヘルス事業とPharmaqという企業を買収したっぽい。ふーん、知らなかったな。いちおう私はABTの株主・・・。ま、あちらはヒトさまの循環器に注力していただければと思う。

キャッシュフローの推移。


数値のソースはモーニングスターのサイト

というわけで、またアニュアルレポートを読むのが楽しみな企業が一つ加わりました。投資方針連続増配年数の基準を満たしていませんが、ま、最近独立した企業なので目をつむります。機会をうかがって、さらに株式を集めたいところです。

情報開示:この記事を書いている時点でZTS54株、SJM54株、ABT161株保有

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当記事のタイトルのネタ元は以下の本。

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