2019年5月30日木曜日

ペットIQ(PETQ)の獲得と、隻眼の相場師の動向

 何が起こったかといえば、バーリが正しく、世界が間違っていて、それゆえに世界がバーリを憎んだということだ。
マイケル・ルイス 『世紀の空売り』 東江一紀・訳 文春文庫
年号が変わった記念として、投資方針から逸脱してるペットIQ(PETQ)を特別枠で獲得しました。

PETQは、
The 3rd Man's  Fundのほかの構成企業とはまるで毛色が違います。例を挙げます。


  • 2017年にIPOしたばかり
  • 配当を出していない
  • 利益がまだまだ低い
  • Cash FlowにDebt issueとPaymentのジャグリングが見受けられる


おそらく配当に関しては、しばらくあてにできないでしょうな。そもそもThe 3rd Man's  Fundは連続増配当の老舗グローバル・ジャイアンツを集めることから始まっているので、論外的な企業です。

では、なぜPETQを獲得したか。


ひとつには、ペット関連の市場、特に米国のそれは魅力的だと認識しているからです。米国の人口動態(人口増、高齢化、家族形態の多様化)を鑑みると、人々のペットへの支出というのは、これからもどんどん加速していくのではと考えます。


その証拠にネスレやJM・スマッカー(SJM)、ゼネラル・ミルズ等々の食品関連企業が、次々にペット食品に触手を伸ばしてきています。


また、農林中金バリューの運用報告会では、アニマル関連の興味深いお話も聞くことが出来ました。(参考記事『農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンドの運用報告会』)


結果、これまで
The 3rd Man's  Fundでは、SJM、ゾエティス(ZTS)を獲得しています。

ペットを飼うということは、ヒトを人たらしむ、豊かさの象徴なのです。






PETQに関しては別の機会に記事を書きたいと思うのですが、そのペット市場で新たなカテゴリーを創り出しつつあるユニークな企業なので、ま、令和元年特別記念として、配当や業績の実績なんぞまったく無視して獲得することにしました。少額(されど私にとってはけっこうな大金)ですが。


これをすることにより、PETQのアニュアルレポートを本気で読む動機ができ、新たな視点からペット市場を確認することが可能になります。



選手がどう見えるか、将来どうなりそうかといった主観的な評価よりも、現実にどんな成績を残しているかが重要なのだ
マイケル・ルイス 『マネー・ボール〔完全版〕』 中山 宥・訳 ハヤカワ ノンフィクション文庫

というThe 3rd Man's  Fund投資方針に大いなる影響を与えたビリー・ビーンさんの考えからは、おもいっきり外れていますね。

***


PETQ獲得の理由には、もう一つの理由があります。いや、正直なところこちらの理由のほうが大きい。


そう・・・


あの“隻眼の相場師”ことマイケル・バーリが買っている


からなのです。


いやはや、1ストライクですな(*1)


以前はともかく最近では、たとえ「完全無欠の投資家(眼鏡の奥ではワロてない)」*2)ことウォーレン・バフェット氏が、何を買おうが売ろうが、まったく気にならないのですが・・・


うーん、         



  • 片目が義眼の男
  • 他人と目を合わせられない男
  • 人を誉めればほめるほど、その人を不機嫌にさせてしまう男
  • 集団生活が苦手な男
  • 公正さへのこだわりが強すぎるあまり、不公正な株価を見つけることができる男
  • 研修医としての勤務中の合間に書いた株式投資のブログが、大手投資家たちの目に留まった男
  • 大手証券会社バンガードの弁護士から、ブログの記事の排除命令を届けられた男
  • ドットコムバブル絶頂期にひたすら(結果的に)バリュー株投資を貫いた男
  • 部屋にこもって財務諸表を読む以上に複雑なことはしない男
  • サブプライム金融危機の際に、多大な利益を受益者にもたらしたにもかかわらず、なんら称賛を得られなかったことに深いわだかまりを抱えた男


オレは、この男が好きだ。 

これまでいろんな投資家についての本を読んできましたが、マイケル・バーリさんだけは別格ですね。『世紀の空売り』(マイケル・ルイス著、文春文庫)に書かれているバーリさんのエピソードが一番面白かったんだよな。


そのバーリ氏のサイオンキャピタルの2019年3月時点のポートフォリオは以下の通りです。





今回のレポートからPETQが登場しています。


なにやら最近になってサイオンキャピタルはそのポートフォリオを公表するようになったとか。面白そうなのでこれから四半期ごとにフォローしたいと考えています。


というわけで特別獲得したPETQ、吉と出るか凶と出るか、はてさて。


ただ以下のことは留意しておかねばなりません。


サイオン・キャピタルに出資するひとりの投資家が語る。「あれが、マイク・バーリの本領ですよ。十倍に跳ね上がるけれど、その前にまず半分に下がる」
マイケル・ルイス 『世紀の空売り』 東江一紀・訳 文春文庫


情報開示:この記事を書いている時点でOETQ60株、SJM54株、ZTS102株保有

(*1)バフェットがマーシャル・ウェルズを買った理由を問われ、ベン・グレアムが買ったからと答えた時の、グレアムの盟友のルイス・グリーンが言った言葉。アリス・シュローダー『スノーボール 上』日経ビジネス文庫



(*2) 完全無欠の落語家、眼鏡の奥ではワロてない、という笑福亭鶴瓶を揶揄した、アラジンの『完全無欠のロックンローラー』の替え歌ギャグのもじり。たしかMBSラジオのヤングタウンのリスナーからの投稿だったと記憶している。さんまさんか紳助さんがバカ受けしていた。

参考図書

 

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