2014年10月9日木曜日

資源株式の調査 その4 -ヘルメリッチ・アンドペイン (HP) -

"What are these things?"
"What?"
"Those things moving up and down."
"Oil Rigs.  When those things are moving up and down, means times are good.  Looks like times are good."

映画『オールド・ルーキー』より
エクソンモービル(XOM)のアニュアルレポートを読んでいて、その高踏的な退屈さに辟易していたところ、ヘルメリッチ・アンドペイン (HP)の42年連続増配当に目がとまったので調べてみることにしました。
調べてみるとなかなか楽しい。もうすぐ最新版のアニュアルレポートが出ると思いますが、とりあえず2013年度版を参考にしています。

1940年にデラウェア州にて創業。油田やガス井戸のドリリング(掘削)業務を請け負っています。掘削機(drilling rigs)や掘削設備、人員(おそらくシュワルツェネッガーやスタローンのような人々)、基地・従業員舎を契約ベース(たいていは複数の油田で複数年)で提供しているようです。従業員数は2013年9月時点で米国に8,715人、International事業で1,618人です。

セグメントは以下の3つに分けられます。%は2013年度のRevenueに占める割合です。
  • U.S. Land (82%)
  • Offshore (7%)
  • International Land (11%)
U.S.Landでは主にオクラホマ、カリフォルニア、テキサス、ワイオミング、コロラド、ルイジアナ、ペンシルベニア、オハイオ、ユタ、アーカンソー、ニュー・メキシコ、モンタナ、ノースダコタ、ウエストバージニア、ネバダで事業をしています。 ペンシルベニアって、掘ったらなんか出るの?

Offshoreはメキシコ湾やカリフォルニア沖、あとアフリカの赤道ギニアで、International Landではエクアドル、コロンビア、アルゼンチン、チュニジア、バーレーン、及びUAEで掘りまくっております。

ただ単にマッチョに掘りまくるだけでなく、TerraVici drilling Solutions, Inc.を買収したりして、掘削技術の発展に取り組んでいる模様です。

得意先として挙げられるのがBHP BillitonやDevon、Occidental Oil and Gas等で、この3社で2013年度のRevnueの約30%強を占めているそうです。ただ顧客の上位10社でRevenueの61%をたたき出しているので、これらのお得意先のどれかがヤバくなると、ここもヤバくなるリスクはありますね。

昨今はやりのシェールガス等にも対応すべくFlexRigsという新型Rigを開発しています。なにやらとても複雑な水平方向へのドリリング?(horizontal drilling)にとっても有効だそうで・・・ちょっとよく想像ができませんが、その名の通り柔軟性にあふれたRigのようです。

FlexRigsはシリーズ化していて、1&2は8,000から18,000フィート、FlexRig3は8,000から22,000フィート、さらに4は4,000から18,000フィートの浅い油田専用というふうに、複雑怪奇な進化を遂げています。とどめは5で、これはシェール専用Rigみたいな感じです。いやはや、これだけRigの説明に紙面を費やすアニュアル・レポートは、マッチョどころか、かえってオタクっぽくて微笑ましい。

オクラホマのTulsaに、これらのRigを加工したり修理したりする施設があります。 

それではBSを見てみましょう。
ソースはyahoo! Financeより、項目は適当に編集
普段見慣れている生活必需品や食品の企業に比べると純資産がすごい。その他負債の多くはDefered Income tax(税金の未払い分)です。

Revenueはどうでしょう。
ソースはモーニングスターのサイト
おおっ! リーマンショックの金融危機時の凹みを別にすると右肩上がりでいいですね。でも容易に想像できますが、Capexの負担はでかそうです。
ソースはモーニングスターのサイト
そのCapexのでかさに、FCFがマイナスになったりしています。そのせいでFCF payout ratioがFlexRigsで掘ったかのごとく地底深くに沈んでしまうので、payout ratio無しの一株当たりの指標を以下に。(ちなみに通常のEPSベースのPayout ratioは2004年度を除くと5~15%と低い)
ソースはモーニングスターのサイト
なんか2013年度でいきなり配当額が増えております。この企業、掘れば掘るほどわからなくなります。私も最終FlexRigs5モードにきりかえて、さらに掘り進もう。キャッシュフローをウォータフォールチャートにします。12年度と13年度。
アニュアルレポートより、項目は適当にまとめています

Investing activitiesが年によって大きく変わるようで、それがキャシュフローにおおきなインパクトを与えているようです。負債が少ない! ついでに自社株買いも配当も少ない。2013年度にいたってはお金が余ったぽいから、ほらよっと配当を増やした感じがします。このへんはマッチョですな。

最後に稼ぎ(Net cash provided by operating activities)に対する配当&自社株買いの割合、および負債の動向です。

ソースはモーニングスターのサイト、負債の単位は$million

うーん、新鮮。この低金利のご時世にどんどん負債を減らしている。マッチョですな。おまけに連続増配当株式に似つかわしくない自社株買いと配当の低さ。マッチョです。そして42年連続増配当の実績は魅力です。

こうなってくると、マッチョとしては外せないキャタピラーも興味深そうですな。また今度調べてみよう。



情報開示:とくになし

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